第511話 AI需要が影響?情報通信支える日本の計測器が注目される理由

AI普及で需要拡大の機器とは?

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にある喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


神様:今日は、日本国内のちょっと尖った技術を持つ業界を紹介しましょう。

T:”尖った”とは、一体どんな業界でしょう?

神様:電気測定器または計測器を扱う業界です。聞いたことはありますか?

T:いえ、なかなか…難しそうですね。

神様:単語だけを聞くと難しそうですよね。最近この業界の各企業が好業績のチャンスを迎えています。まず、電気測定器や計測器とは何かを理解しましょう。電気測定器には、例えば波形測定器、伝送特性測定器、無線通信測定器、半導体・IC測定器などがあります。波形測定器はいわゆるオシロスコープなど、電気信号を波形として観測するための機器です。伝送特性測定器というのは、入力された電波や電気信号に対してどのような出力が出されるのかを測定します。

T:無線通信測定器や半導体・IC測定器は何となくわかります。いずれも情報通信分野で使われる計測機器なのですね。

神様:その通りです。これらの計測器は情報通信分野を支える重要な機器です。今、世界ではAIの普及に伴って情報通信量が飛躍的に増加しています。データセンターの増設だけでなく、今後は衛星通信の普及など、これまでにはなかった通信需要がさらに増えていくことが見込まれています。

T:そこで、情報通信分野を支える計測器の需要も飛躍的に増えていくことが予想される、ということですか?

神様:おっしゃる通りです。正確な通信には正確な計測器が欠かせません。日本の企業が得意とする”正確・精密な”技術が、ここに活かされます。

T:なるほど。

神様:電子情報技術産業協会(JEITA)では、統計情報として毎月の電気測定器の受注状況を公表しています。2018年以降の電気測定器の受注推移を見ると、2019年度に1度ピークを迎えています。これは、2020年の第5世代移動通信システム(5G)の商用サービス開始に向けた設備投資需要と考えられます。その後は低迷しましたが、2024年度から再び増加傾向となっています。特に2026年度に入り需要が大きく伸びていることが明らかになっています。

T:その要因は何でしょうか?5Gの次の通信システムと言えば、6Gですか?

神様:6Gは「Beyond 5G」とも呼ばれ、現在も世界各国で研究開発が進められていますが、商用化・実用化はもう少し先の2030年代と見込まれています。現在の需要の伸びは、データセンターや衛星通信に関する需要と考えられます。また、2026年度の4月から6月までの統計では、内需より外需の伸びが大きく目立ちます。円安により質の高い日本製品が海外でより多く買われ、海外の競合企業に対して価格優位性が生まれていると推測できます。

T:なるほど。製品の質の高さに加えて円安も味方につけて好業績につなげているわけですね。

神様:グローバルインフォメーションの調査によると、通信試験装置の世界市場規模は2032年に向けて年平均7.8%の成長が見込まれています。AIが普及し、データセンターなどでネットワークの性能、信頼性、セキュリティがより一層求められる中、高度な試験・計測の実施もより欠かせないものとなっていくでしょう。

T:世界的なデータセンター需要、衛星通信の拡大などにあわせて、日本の電気測定器や計測器が必要とされる機会が拡大していく。計測器の関連企業にとっては好業績を生み出すチャンスですね。

神様:そして、2030年代に入れば、いよいよ6Gに関する設備投資が始まります。計測器の需要は途切れなく続く見込みです。

T:ニッチな業界かと思いましたが、お話を聞くと確かに今後の活躍が長く続くことが期待できますね。要注目です。

(この項終わり。次回9/9掲載予定)

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