マッハ3で400km飛ぶ! 空母もAWACSも叩ける国産ミサイル「ASM-3改」が40年かけ到達した驚異の性能

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防衛省の2027年度概算要求に盛り込まれた国産超音速ミサイル「ASM-3改」。マッハ3以上の速度を誇るだけでなく、空対艦・空対空の“兼用”へと進化を遂げた新装備の全貌と、戦闘機への搭載計画の実態を解説します。

ついに調達開始! 国産超音速ミサイルの最新型

 防衛省の令和9(2027)年度概算要求の概要では、「新しい戦い方への対応」「持続的な対応能力」「防衛力の基盤」という3つの柱を重視しているのが特徴です。そして、この3つの柱の一つ「持続的な対応能力」では、自衛隊の運用を円滑にするため、弾薬・燃料の確保、可動数の向上、施設の強靭化、運用基盤の強化などが盛り込まれています。

 今回は、そのなかで2027年度概算要求に新たに計上されたASM-3改について見てみましょう。

 ASM-3改は国産初の超音速ミサイルASM-3の射程延伸型として2020年度から2025年度末までの計画で、三菱重工業を主契約会社として開発が進められてきました。その最大の特長は、ASM-3と同じIRR(インテグラル・ロケット・ラムジェット)により超音速飛しょうが可能な点であり、最大速度はマッハ3(約3680km/h)以上といわれています。

 ちなみに、IRRはその名前のとおりラムジェットの派生型で、固体ロケットモーターでラムジェットの作動域まで加速させるものですが、小型軽量化が難しく、西側諸国でIRRをミサイル搭載までに漕ぎつけたのは日本のみです。

 このASM-3改の原型となったASM-3ですが、その構想は1980年代末にさかのぼります。そこから、IRRの要素技術の研究試作などを経て、2010年度に開発を開始し、2017年度に開発を完了しました。しかし、開発を完了した頃には、従来の国産空対艦ミサイルASM-2と同等の射程(推定約150km前後)では、敵戦闘艦艇の脅威圏外から有効な攻撃は困難として、ASM-3の装備化は行われず、ASM-3改の開発が始まりました。

 ASM-3改の開発にあたっては、開発期間と経費を縮減するため弾体規模は変更せず、主として軽量化を通じて長射程化を進めることになりました。目標とする射程は400kmといわれています。また、開発と並行して、その成果を反映させた暫定型のASM-3Aが、2021年度予算で調達を開始しており、すでに2025年度から配備されている模様です。

空対艦専用から空対空兼用へ変身!

 こうしてついに、空対艦ミサイルASM-3シリーズの完成型ともいうべきASM-3改の量産調達が2027年度概算要求に計上されたわけですが、防衛省の資料には「空対艦/空対空ミサイル(ASM-3改)」と記載されています。

 この意味するところについて、防衛省の担当者は、ASM-3改が空対艦と空対空の兼用型になることを明らかにしました。ASM-3シリーズの誘導方式は、中間段階が慣性/GPS誘導、終末段階がアクティブ・レーダー/パッシブ・レーダー複合誘導ですが、プログラムを改修するだけで、空対空ミサイルとしても使えるようになるとのことです。

 ASM-3改は全長6mとAIM-120(全長3.65m)やAAM-4(全長3.66m)に比べ大柄であり、射程も長いことから、アメリカ軍のAIM-174B「ガンスリンガー」のように後方に位置する敵方の早期警戒管制機や空中給油機など高価値な目標の攻撃に使われるものと思われます。

 ASM-3改は、他国に例を見ないIRRによる超音速飛行性能に、空対空と空対艦兼用という運用の柔軟性が加わることになります。では、唯一の発射母機となるF-2戦闘機の能力向上型の状況はどうなっているのでしょうか。

「F-2改」と「F-15改」各々の配備先は?

 F-2の能力向上改修事業は順調に進んでおり、契約機数も2020年度から2026年度予算計上分まで含めると40機に達しています。このうち、2026年度に9機、2027年度に7機が航空自衛隊に引き渡され、茨城県の百里基地に所在する第3飛行隊が最初の配備先になる予定です。

 一方で、運用の柔軟性の観点からは、ASM-3A/-3改をはじめ12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)など、国産新型ミサイルの搭載・運用が可能な戦闘機は、F-2の能力向上型だけにとどまらず、複数機種あった方が望ましいことは言うまでもありません。

 そのためなのか、航空自衛隊は2025年3月に「F-15能力向上改修機への国産弾搭載に伴う母機適合性検討」を三菱重工業と契約しています。

 そこで気になるのが、事業経費の高騰などで当初計画より遅れが生じているF-15の能力向上改修機の状況です。

 F-15の能力向上改修機は、2022年度に2機と2023年度に18機の計20機が契約されていますが、防衛省によると、このうち2027年度に2機、2028年度に8機、2029年度に10機が航空自衛隊に引き渡される計画です。防衛省では、この20機を千歳基地に集約して配備することにしています。

 F-15能力向上改修機にASM-3改が積まれるかどうかは、いまだ不明ですが、このスケジュールを鑑みると、それほど遅くない時期にハッキリするのではないでしょうか。