見えない痛み、診断まで10年=線維筋痛症に理解と支援を―患者ら訴え、国会にも請願

人手不足とオフィス空室率の関係

 全身に激しい痛みが起こる「線維筋痛症」という病気がある。国内の患者数は約200万人と推計されるが、外見から症状が分かりにくく、周囲の理解を得られず苦しむ人も多い。10年以上にわたり診断が付かなかった女性は、SNSで自身の経験を発信し、病気への理解や公的支援の充実を訴えている。
 東京都の介護福祉士、勢理客麗奈さん(30)が異変を感じたのは、中学1年のころ。故郷の沖縄県・石垣島で突然胸が締め付けられるように痛み、授業中に救急搬送された。血液検査や心電図を受けても異常は見つからなかった。
 進学して上京すると痛みは全身に広がった。数え切れないほどの医療機関を受診し、検査を受けても原因は不明。医師から「気のせいだから深刻に考えなくていい」と言われたこともあり、「病気を否定されたようで一番つらかった」。次第に病院から足が遠のいた。
 転機は約1年半前。痛がる姿を心配した夫が見つけてきた線維筋痛症を診療する専門の医療機関を受診し、最初の症状から10年以上を経てようやく診断が付いた。「やっと病気と向き合うスタート地点に立てた」と振り返る。
 線維筋痛症は、似た症状を示す他の病気を除外しながら、痛みの広がりなどを踏まえて総合的に判断する。日本線維筋痛症・慢性痛学会は、研修を受けた医師が所属する全国約130の医療機関を患者向けの「診療ネットワーク」として公開しているが、地域によって偏りがある。
 患者にとっては、診断後の生活も課題だ。症状のため就労が難しくなり、経済的な不安を抱える人もいる。線維筋痛症などの患者に対し、必要な支援を求める請願が今年の特別国会に提出され、勢理客さんも署名に加わった。
 勢理客さんが自身の体験を発信するSNSには、全国から「診てもらえる病院が見つからない」「家族に理解してもらえない」といった相談が連日寄せられている。「私も診断されるまで孤独だった」と勢理客さん。自身の経験を伝えていくことで、同じように悩む患者が必要な医療や支援につながるきっかけをつくりたいと話している。 
〔写真説明〕インタビューに応じる勢理客麗奈さん=8月7日、東京都中央区
〔写真説明〕インタビューに応じる勢理客麗奈さん=8月7日、東京都中央区