【カイロ時事】イランは米イスラエルの攻撃で最高指導者だったアリ・ハメネイ師らを失いながら、今も対決姿勢を維持している。実権を握る強硬派が批判を封じ、トランプ米大統領の挑発や米国による民間インフラ攻撃を受けて国民が結束したとの指摘もある。ホルムズ海峡の封鎖を「切り札」に強気を保つが、戦闘長期化は避けたいのが本音だ。
米イスラエルは当初、イラン国民に蜂起を呼び掛け、体制転換を狙った。イラン情勢に詳しいエジプト人専門家ハニ・スレイマン氏は「イランは多くの指導者を失ったため、国内の治安統制強化が優先された」と見る。結果的に米イスラエルの思惑は外れた。
精鋭軍事組織「革命防衛隊」や傘下の民兵組織を街頭に展開させ、国民をけん制。スレイマン氏は、外交や国防を統括する最高安全保障委員会の事務局長に今月、レザイ元革命防衛隊司令官が就いた人事は、統制強化路線を反映していると説明した。
戦闘でイラン経済は大打撃を受けた。米軍の海上封鎖下で原油輸出が停滞。24日には、イランと取引した国や企業への二次制裁の対象拡大を米国が発表した。
エジプト人専門家モハメド・ハイリ氏は「労働者の生活ニーズに対し平均月収は半分ほどだ」と指摘する。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは「攻撃前は3カ月、半年先を考える余裕があったが、今は月末までのやり繰りしか考えられない」と嘆くテヘラン市民の話を伝えた。
米イランが6月、戦闘終結に向けた覚書に署名し、大規模な戦闘はひとまず沈静化。ただ、その間にイランは弾道ミサイルや無人機の増産を進めているとの見方が大勢だ。スレイマン氏は「軍事費がイランの資源を食い尽くし、長期の全面的な戦闘には耐えられない」と分析。「ホルムズ海峡開放を争点にして、(核問題などの)米国の要求を回避し、イラン側の譲歩の余地を狭める」のが戦略とみられる。
〔写真説明〕テヘラン市内に掲げられた反米の看板=3日(EPA時事)
〔写真説明〕26日、テヘランで、屋台の営業をする女性(EPA時事)