「刀剣乱舞」ファン、酒蔵救う=SNSで困窮投稿、注文殺到―熊本地震

”値上げに強い”飲食店に注目

 最大震度7の地震が観測された熊本県では、創業250年を超える老舗酒蔵も予約キャンセルや注文停止に苦しんだ。窮地を救ったのは、人気ゲーム「刀剣乱舞」のファンたちとのつながりだった。
 1770年創業の造り酒屋「通潤酒造」(山都町)では、地震による直接的な被害は大きくなかったが、観光のキャンセルや飲酒自粛の影響で卸売店からの注文が止まった。月平均1000本の注文が入る主力の純米吟醸酒「蝉」は、今月中旬時点で120本と落ち込み、併設のカフェでも約500人分の予約キャンセルが出た。
 「困った困った。純米吟醸酒『蝉』が蔵の中で泣いています」。12代目蔵元の山下泰雄さん(63)が窮状をX(旧ツイッター)で発信すると、投稿は一気に拡散された。実は通潤酒造には、刀剣乱舞の登場人物「蛍丸」と同じ名前の純米吟醸酒があり、熱烈なファンの間では知られた存在だったためだ。
 山下さんによると、投稿を見たゲームファンを中心に購入希望が殺到。「蛍丸」は500~600本の注文があり、インターネット販売サイトでは一時、売り切れとなった。社員総出で出荷作業に当たり、一本一本に「おかげさまで行き場のないお酒が旅立つことができました」とのお礼の手紙を添えたという。
 山下さんは「地震を機に、地元で頑張る酒蔵を応援したいという方が相当いると感じた。力をお借りして自分の足で一生懸命立っていきたい」と意気込んでいる。 
〔写真説明〕販売サイトで注文が相次ぎ、「蛍丸」の出荷作業に追われる従業員=15日、熊本県山都町
〔写真説明〕主力商品の純米吟醸酒「蝉」を持つ通潤酒造蔵元の山下泰雄さん=15日、熊本県山都町