なぜ戦略爆撃機を「醜いデブ野郎」と呼ぶ!? ひどいアダ名に隠された本当の意味 じつは最大級の敬意だった!

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世界最大級の戦略爆撃機B-52に付けられた、あまりにひどいアダ名。しかしそれは、タフな機体に向けられた乗員たちの賛辞だったのです。

「BUFF」=デカくて醜いデブ野郎!?

 アメリカ空軍の戦略爆撃機B-52「ストラトフォートレス」には、軍用機としては異例ともいえる変わった非公式の愛称があります。それが「バッフ(BUFF)」です。「Big Ugly Fat Fellow」の頭文字を取ったものとされ、日本語にすれば「デカくて醜いデブ野郎」といった意味になります。

 世界最大クラスの戦略爆撃機に与えられた呼び名としては、あまりにも無遠慮で、敬意を欠いているようにも聞こえます。ところが、この言葉には悪口以上の意味が含まれています。

 B-52が初飛行したのは1952年。以来、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など、アメリカが関与した数多くの戦争と作戦に投入されてきました。その活動期間は70年を超え、初期型を知る世代から、現在の近代化されたB-52Jを操る世代まで、無数の搭乗員がこの爆撃機と時間を共有してきました。

 その機体を見たとき、たしかに「美しい」と評価しにくいことは事実です。長大な主翼を持ち、細長いエンジンポッドには8基のエンジンが収められ、シワが寄った胴体は老朽化を感じさせます。流線形の胴体や鋭いデルタ翼を備えた超音速戦闘機とは、設計思想そのものが異なります。

 だからこそ、その姿には独特の無骨さがあります。「醜い」「太っている」「巨大だ」――こうした表現は、B-52の外観を揶揄しているように見えますが、そこには搭乗員たちが自分たちの乗る機体に親しみを込めて語る、兵士特有のユーモアがあるのです。過酷な任務をともにする兵器には、ときとして公式名称とは別の、内輪の呼び名が生まれます。BUFFもその一つだったのです。

70年以上現役にある機体だからこそ生まれたアダ名

 この愛称が生まれた背景には、B-52が「見た目以上に頼れる航空機」だったことがあります。爆撃機に求められるのは、エアショーで映える美しさではなく、長時間飛行し、膨大な燃料を消費しながら戦域へ進出し、敵の脅威にさらされても任務を遂行し、帰還する能力です。B-52はその役割を何十年にもわたって担ってきました。

 機体は時代に合わせて改修され、電子機器、通信装置、航法システム、兵器運用能力も更新されています。B-52は基本設計に余裕があり、構造的な耐久性と運用上の信頼性を備えていたからこそ、そうした変化を受け入れることができました。「デカくて醜いデブ野郎」という呼び名も、その現実を知る者にとっては侮辱ではありません。むしろ、洗練された外観を持たなくても、誰より遠くまで飛び、誰より長く任務を続けてきた古参兵への、少し乱暴な親愛表現と言えるでしょう。

 半世紀どころか、70年以上にわたってB-52が現役であり続ける現在、そのBUFFという愛称は一段と味わい深いものになっています。軍用機としては異例の長寿を誇りながら、なお100年現役を目指し未来の戦場へ向けて改修を続ける。その姿は、最新鋭機とは異なる価値を示しています。

 美しいから愛される航空機もあります。しかしB-52は、強く、頑丈で、頼りになるからこそ愛されてきました。その無骨な姿を見て「BUFF」と呼ぶとき、そこに込められているのは悪意からではありません。長い年月をともに戦い、何度も帰還してきた相棒に対する、アメリカ空軍流の最大級の敬意なのです。