「ほっておけない」避難所通い=地元の院長、診療に奔走―震度7の宇城市・熊本地震

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 熊本地震で被災したクリニックの院長が、地元の避難所で診療や健康相談を続けている。「ほっておけない。やれることをやるだけ」。「ダイヤモンドシティクリニック」(宇城市小川町)の桑原仁士院長(61)は、地域のかかりつけ医としての役割を果たすべく奔走している。
 生まれも育ちも小川町で、約30年にわたって地域住民の健康を支えてきた。しかし、クリニックが入る商業施設「イオンモール宇城」は震度7の揺れに襲われ、男性1人が亡くなった。クリニックも天井が落下し、ガラスが散乱するなどして休診を余儀なくされた。
 それでも2日間で自宅を片付け、発生3日目から避難所を回った。「限られた医療器具しかないが、目の前にいる患者さんをほっておくわけにはいかない」との思いからだった。
 避難所には、歩くのが困難だったり医療機関への移動手段がなかったりする高齢者が多い。時には隣町の薬局まで車を走らせ、薬を届ける。避難生活で悪化しがちな血圧管理にも気を配る。
 避難所で生活する女性(77)は「先生から話し掛けに来てくれて、涙が出るほどうれしかった」とほっとした様子。「みんな助かっている。やっぱり先生を見ると安心する」と笑顔を見せた。
 ただ、イオンモールの再開のめどは立っていない。このため桑原院長はプレハブの仮設診療所の設置を目指し、クラウドファンディングを始めた。期間は10月末までで、目標金額は600万円。集まったお金は設置費用や医療機器、備品の購入費に充てる。
 地域住民の中には、診療を受けようと避難所まで訪れる人もいるという。桑原院長は「かかりつけ医としての責任を感じる。一日でも早く元の生活に戻れるようにしたい」と語った。 
〔写真説明〕避難所で診察する桑原仁士院長(奥)=7日午前、熊本県宇城市小川町