かつては「赤い卵」なる異名も!? 飛行機のブラックボックスが黒くない理由&深海でも見つかるハイテクな仕組みとは

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飛行機事故のニュースで耳にする「ブラックボックス」。しかし実際は黒ではなく鮮やかなオレンジ色をしています。なぜ「ブラック」と呼ばれるのにオレンジ色なのか、その由来と過酷な深海でも発見される仕組みを解説します。

なぜ「ブラック」なのにオレンジ? “赤い卵”と呼ばれた由来

 飛行機が事故を起こすと、ニュースで必ず話題になるのが「ブラックボックス」です。事故の原因を解き明かすカギを握る、いわば飛行機の”記録係”。ところが、その実物を写真で見てみると、色は黒ではなく、目を引く鮮やかなオレンジ色をしています。

 なぜ「ブラック」なのに、オレンジ色なのでしょうか。

 オレンジ色をしているのには、はっきりとした理由があります。墜落現場で、瓦礫や機体の破片に紛れていても、すぐに見つけられるようにするためです。海上でも山中でも、目視で発見しやすいよう、記録装置のケースは明るいオレンジ色や黄色などの高視認性カラーにすることが国際基準で求められています。実際の旅客機でも、機体の塗装色とは関係なく、ブラックボックスは目立つ色で塗装されるのが一般的です。

 ではなぜ、「ブラックボックス」と呼ぶようになったのでしょうか。

 この名前の由来には諸説あります。第二次世界大戦中のイギリスで、航空機に積む電子機器を入れた箱が「黒い箱」と呼ばれていた流れを受け継いだという説。初期の記録装置が感光フィルムを使っていたため、光を入れない黒い箱が必要だったという説。さらに、入力と出力だけが分かり、中身の仕組みが外からは見えない装置を技術者が「ブラックボックス」と呼ぶ、その工学用語から来たという見方もあります。

 ちなみに、初期の装置は、その丸い形と色から「Red Egg(赤い卵)」と呼ばれていました。生みの親はオーストラリアの航空研究者デビッド・ウォーレン氏。1950年代に試作機を完成させた時点で、事故後に発見しやすい色で塗ることはすでに重要視されていたのです。

 とはいえ、墜落の現場は陸上だけとは限りません。海に沈んでしまったら、目立つオレンジ色も役に立たないのではないでしょうか。

海底でも見つかる「音」の合図 ピンガーの仕組みとは

 実はこの懸念に応えるため、ブラックボックスにはもうひとつ秘密兵器が仕込まれています。それが「水中ロケータビーコン(ULB)」、通称”ピンガー”と呼ばれる発信器です。

 ULBは、水に浸かると自動でスイッチが入り、1秒に1回、37.5kHzの音波(超音波)を発し続けます。地上でいう緊急ビーコンの水中版です。探知できる距離は水深や海況、周囲の雑音などによって変わりますが、数km程度離れた場所からソナーで探知できるとされています。捜索する船や潜水機が周囲を移動しながら、音をたよりに位置を特定していくのです。

 かつてULBの電池寿命は30日間ほどでした。しかし2014年に発生したマレーシア航空370便の事故などをきっかけに、作動期間を90日間へ延ばす国際的な見直しが進みました。深い海の底でも、長期間にわたってブラックボックスは「ここにいる」と発信し続けるわけです。

 もちろん、ブラックボックス本体の頑丈さも忘れてはいけません。国際規格では、約1100℃の高温、約3400Gの衝撃、深海6000m相当の水圧などに耐えることが求められています。記録された飛行データや操縦席の音声が、過酷な事故の衝撃から守られるように作られています。

 明るいオレンジ色、水中で鳴り続ける音波、燃えても潰れても残る頑丈な箱。ブラックボックスは「黒」と呼ばれていながら、実際には「見つけてもらう」ための工夫を、これでもかと詰め込んだ装置なのです。事故が起きないことが一番ですが、もしものときには、この鮮やかなオレンジ色が、空の安全を守るための大事な手がかりになっています。