「新規参入の“締切り”が近い」新戦闘機GCAP 「入れちゃダメな国」「すんなり認められそうな国」とは?

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日英伊が共同開発する次期戦闘機GCAP。新規参入の「締め切り」が迫るなか、有力候補として浮上している国があります。

カナダは「ようこそ!」 スウェーデンは「無いでしょ~」

 日本、イギリス、イタリア3か国による新有人戦闘機開発計画「GCAP」(Global Combat Air Programme)の新規参入国を迎える時期の終了が近づいているようです。参画するイギリスの防衛大手BAEシステムズのチャールズ・ウッドバーンCEO(最高経営責任者)が、2026年7月30日に行われた上半期決算説明会の席で、そのように発言しました。

 GCAPにはカナダが「オブザーバー」資格で参加することが7月21日に決定しています。オブザーバーは現時点では開発には参加せず、購入の確約もしないものの、将来的には機体導入や協力を検討するという関係性で、開発国側は将来の輸出先確保やコスト低減につなげる狙いがあります。

 今後そのような国が増えていくとの見方もあり、いくつかの国の名前も挙がっていますが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、その多くが新規参入できないと考えています。

 たとえばスウェーデンです。GCAPはイギリスが2018年に発表した「FCAS」(将来戦闘航空システム)と、その中核となる有人戦闘機「テンペスト」の延長線上に開発されています。イタリアとスウェーデンはFCASの開発に協力する協定を締結していますが、イタリアがテンペストの共同開発計画に加わったのに対し、スウェーデンはテンペストの共同開発計画には加わらず、テンペストの延長線上にあるGCAPにも加盟していません。

 筆者は2022年7月に開催されたファンボロー・エアショーのFCASパビリオンで、スウェーデンの防衛大手サーブの担当者に、テンペストの共同開発へ加わらない理由を尋ねました。すると「第6世代戦闘機と位置づけられていたテンペストの共同開発に加わるための財政負担に耐えられないと政府が判断したからだ」と述べていました。

 GCAPで開発される有人戦闘機もテンペストと同じ第6世代戦闘機と位置づけられていますので、正規のメンバー入りのための財政負担は大きく、またサーブのビジネスチャンスを損ねてしまう可能性もあることから、スウェーデンの加盟はまずないと思われます。

有人機開発をやめたフランスとドイツは…?

 また、2026年6月に新戦闘航空システム「FCAS」(フランス語ではSCAF)の中核となる有人戦闘機「NGF」の開発中止を決めたフランスとドイツも、まず加盟はないと思います。

 フランスは自前の核兵器と空母での運用能力を新戦闘機に求めていますが、ドイツはその能力を求めておらず、その埋まらないギャップがNGF開発中止の一因になったと言われています。核兵器と空母での運用能力は、GCAPの正規メンバー国が求めているものではありません。

 加えて、NGFが開発中止になったもう一つの大きな理由は、フランスとドイツの開発主導権争いにあります。独自の要求を持ち、開発の主導権を握りたいフランスを加盟させると、たとえGCAPが完成しても、就役時期は大幅にずれ込むことでしょう。

 これに対し、BAEのウッドバーンCEOも、GCAPの開発で主導的な役割を果たしているイタリアのレオナルドのロレンツォ・マリアーニCEOも、GCAPの就役時期を2035年から遅らせるつもりはないと述べています。

 その点では、フランスよりドイツの方が要求性能の妥協は容易かもしれません。しかしレオナルドのマリアーニCEOは「ドイツの参加は産業面でも財政面でも魅力的であるのは確か」としつつも、「それが混乱を引き起こす可能性も大いにある」と述べており、GCAPの就役時期を遵守するのであれば、仏独両国の加盟は無いと見て良いでしょう。

 ポーランドとサウジアラビアもGCAPへの加盟に前向きで、サウジアラビアに関してはイタリアのジョルジャ・メローニ首相が条件付きながら加盟への支持を表明しています。ポーランドのコンラッド・ゴヴォタ国有資産副大臣はポーランドの公共放送「TVP Info」で、ポーランド政府がGCAPへの参加を検討しており、日本およびイタリアの関係者と協議を行っていることを明らかにしています。

 ただ、この両国はGCAPへの参加を自国の工業力向上につなげたいという思惑があります。となると、カナダのようなオブザーバーとしての加盟に難色を示す可能性があり、カナダほどすんなり加盟は決まらないのではないかと思います。

新たに浮上した国は“すんなり認められる”可能性も

 その一方で、2026年7月に複数の海外メディアが加盟の協議をはじめたと報じたシンガポールについは、加盟がすんなり認められるのではないかと筆者は思います。

 シンガポールは他の東南アジア諸国に比べて政治的に安定していますし、財政的な安定度は日英伊以上と言って差し支えないでしょう。

 同国にもSTエンジニアリングをはじめ、巨大な防衛産業が存在していますが、完成品の製造よりもライセンス生産権や搭載兵装など、付加価値の高い商品でのビジネスを好む傾向がありますので、戦闘機の生産分担を強く求めてくる可能性は低いと思われます。

 また、シンガポールはF-35戦闘機の国際共同開発プログラム「JSF」にも参加していますが、参加形態は事実上オブザーバーと言うべき「保全パートナー」なので、オブザーバーとしての国際共同開発プログラムに慣れていることも有利な要素と言えるでしょう。

 2026年8月上旬の時点でシンガポール政府は公式発表をしていませんが、シンガポールのGCAPへの加盟は、そう遠い日の話ではない可能性もあります。