2年半ぶりに福岡に帰ってきた。名古屋グランパスから期限付き移籍でアビスパ福岡に復帰した三國ケネディエブスが、ネイビーに染まったベスト電器スタジアムのピッチに立った。
2026/27明治安田J1リーグの開幕戦で、福岡は百年構想リーグの王者・ヴィッセル神戸を迎えた。3バックの中央に入った三國は「グランパスでは先発で出ていたので、ゲームの入りはしっかりできた」と落ち着いた立ち上がりを見せる。6分に低い位置から前線の大迫勇也を狙ったボールを鋭い出足でカットすれば、12分にはGKからのロングキックに対し、武藤嘉紀との競り合いを高さで制す。神戸にペースを握られながらも、集中した守備でゴールを許さなかった。
ところが22分、福岡がファウルスローを取られ、ボールが神戸に渡ってしまう。ジエゴのロングスローはグングン伸びてゴール前へ。それをマテウス・トゥーレルが頭で背後に逸らし、最後はエースの大迫が押し込んだ。塚原真也監督は「ロングスローで一番危険な選手をフリーにしてしまった」と悔やんだが、三國は「(トゥーレルの)マークについていたのは僕なので。あそこで僕が競り勝つのが一番良かった」と一つ前のプレーを反省した。
これが決勝点となり福岡は敗れてしまったが、崩されての失点はゼロだったことには「3バックでコミュニケーションを取りながらチャレンジ&カバーがやれた」と手応えを感じているようだ。「(相手と)競る人は自信を持って競ることができていた。後ろを気にせずにチャレンジできたのは、コミュニケーションを90分通してしっかりやれていた証拠だと思います」。したたかな戦いをしてくる神戸に対して、三國は「神戸は賢さがあって隙を突いてくるので、気を引き締めよう」と最終ラインの真ん中で声を出し続けた。
高い集中力を持続できるようになったのは、名古屋で出場回数を重ねたことが大きい。移籍した2024年は開幕戦で先発の座をつかむと、自己最多のリーグ戦35試合に出場。JリーグYBCルヴァンカップ決勝の舞台で戦い、タイトル獲得の経験も積んだ。この日の試合でも「昔に比べると、90分を通して安定したプレーを見せられた」と成長を口にする。一方で、「大迫選手との競り合いにもっと勝たなきゃいけなかったと思いますし、こういう試合こそ、攻撃やセットプレーで点を取らなければいけなかった」と課題を挙げた。
実際にセットプレーから得点が生まれそうな場面はあった。56分にペナルティエリア手前でFKを獲得。キッカーの名古新太郎がふわりと蹴ったボールにファーサイドから走り込んで折り返しを狙ったが、ゴールにつながらなかった。百年構想リーグの無失点試合数がJ1最下位タイの2試合だった福岡にとって、堅守の復活が優先課題であるのは間違いないが、勝ち点3を手にするにはゴールをこじ開ける必要がある。三國は「名古くんがいいボールを蹴ってくれたので、ちょっと工夫して中に入らなければいけなかった。でも個人的には可能性を感じているので、今後もチャレンジしていきたい」と得点に絡むプレーを増やしていく姿勢だ。
開幕戦に詰めかけたファン・サポーターは、ホーム開幕戦では最多となる1万7538人。「とても臨場感があった。独特の雰囲気の中で試合ができて本当に感謝している」と大歓声と拍手に背中を押してもらったからこそ、白星を届けられなかったのが悔しい。「センターバックとして90分間チームを安定させる守備とコーチングでゼロに抑えながら、セットプレーからの得点を狙って、チームを勝たせるようなプレーをしていきたい。次の試合だけではなくて、残りの37試合、天皇杯、ルヴァン杯も含めて、そういうところをしっかりやっていきたい」。たくましさを増した三國が最終ラインを引き締め、さらに得点に絡むような活躍を見せてくれたら、勝利をたぐり寄せる頼もしい武器になるだろう。
取材・文=高尾太恵子
【動画】大迫勇也が決勝点、神戸が開幕戦白星