なんという“車ビタ詰め” 7000台積載! 商船三井の最新鋭「自動車船」に潜入 船乗りの仕事はここまで快適になった!

スマートレジ、消費税減税で注目

商船三井が最大級となる7000台積み自動車船「LAZULITE ACE」を一般公開。LNG燃料やAI火災検知システムなど最新鋭の技術を搭載しています。

7000台積載! さらに進化した最新の巨大自動車船

 東京港・東京国際クルーズターミナルで2026年7月20日、国土交通省や日本財団などが共催する「海の日記念行事」の一環として、商船三井で最大級となる7000台積み自動車船「LAZULITE ACE(ラズライトエース)」が公開されました。

 同船は環境負荷の低いLNG(液化天然ガス)を主な燃料として使用する自動車船「BLUE」シリーズの9隻目。日本シップヤード(NSY)が受注し、今治造船グループの多度津造船(香川県多度津町)で2026年3月6日に竣工した新鋭船です。主に日本―欧州間の完成車輸送に投入されています。

 全長は199.93mで総トン数は7万7695トン。船首最上部を傾斜構造にして風圧抵抗を20%軽減する「エアロダイナミックスクリーン」を導入するとともに、船幅を従来の32mから拡張後の新パナマ運河に対応する38mに広げることで、積載台数を約6400台から約7000台に増やしました。

 さらに、デッキ高さを上下に調整することのできるリフタブルデッキを採用しているため、乗用車だけでなく大型トラックや建設機械なども積載することが可能になっています。

 船内は12層で、船体強度を高めることで船倉の隔壁を大幅に減らしたバルクヘッドレス構造を採用。幅広のスロープを直線的に配置することで車両の走行経路をシンプルにし、荷役効率と安全性の両立を図りました。

「船乗りの意見」反映したブリッジ

 操船を行うブリッジは従来の船より広くなっている一方、操舵スタンドやエンジンテレグラフ、ECDIS(電子海図情報表示装置)とレーダーのモニターなど、航海に必要な計器類が取り付けられたコンソールは中央に寄せた配置となっており、コンパクトな印象を受けます。ウィング(ブリッジ左右の張り出し部分)も船内に収められ、悪天候時でも雨に濡れることなく勤務ができるようになっているのも、「BLUE」シリーズの特長と言えるでしょう。

 商船三井の担当者は「当社の船長や航海士がこういったコンソールの配置が良いだろうという話をして決めている。そのため基本的には同じようなレイアウトの船が増えている」と話します。

まさに「ビタどめ!」 驚きの詰め詰め積載を披露

今回は貨物倉で宇徳グループの宇徳港運が、乗用車の積み付け作業のデモンストレーションを実施。サイドミラーを閉じた状態の車両を、笛と誘導灯の指示だけを頼りに左右約10cm、前後約30cmという間隔で素早く正確に並べていく技術を披露しました。

 なお、実際の運航では、デッキに積み付けられた車両は航海中の揺れによる移動を防ぐため、ラッシングベルトによって固縛されます。

「BLUE」シリーズの特徴的な点は、貨物倉内にカメラとAI(人工知能)を組み合わせた火災検知システムが設けられていることです。このシステムはイスラエル企業のキャプテンズ・アイが開発したもので、カメラに捉えられた映像をAIが異常と判断した場合、船上の乗組員と陸上の管理者に警報を発信。船と陸の両方から貨物倉の映像を確認することで、迅速な初期消火へとつなげます。

 また、乗組員の福利厚生として、高速で低遅延接続が可能な衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を導入。船内に居室でも職場でもない、憩いの場となる第三の場所「IKOI」も設けられています。こうした福利厚生の向上は、外航船員の課題とされている点のひとつです。

 この「LAZULITE ACE」はインド人船員によって運航が行われていることもあって、船内ではそれぞれの好みに合ったカレーが常に提供できるようになっていました。

タンク内で発生するガスまで無駄なく使う!?

 環境性能も特筆すべきポイントです。エンジンはLNGと重油の双方を使える二元燃料(DF)対応。LNGは従来の重油燃料船に比べてCO2(二酸化炭素)の排出を約25―30%、大気汚染の原因となるSOx(硫黄酸化物)の排出を約98%削減できます。NOx(窒素酸化物)の排出はEGR(排ガス再循環システム)により、約80―90%も低減しました。

 さらに、LNG燃料タンクから発生するBOG(ボイルオフガス)を発電機やボイラーで使用するため、より環境に配慮した運航が可能になっています。

 商船三井はグループ全体でGHG(温室効果ガス)や汚染物質の排出ゼロを目指す「2050年ネットゼロ・エミッション」を掲げており、その実現に向けた船隊整備を進めています。実用可能な脱炭素化ソリューションとしてLNG燃料船を導入しており、2026年3月時点でLNG船87隻に加えて25隻のLNG燃料船が運航しています。今後も「LAZULITE ACE」に続く最新鋭のテクノロジーを持つ船が増えていく見通しです。