イラン、代理勢力通じ揺さぶりか=対米交渉の主導権狙う

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 【カイロ時事】米国とイランの軍事衝突が続く中、イエメンやイラクに拠点を置く親イラン代理勢力が7月下旬以降、米国や湾岸諸国への揺さぶりを強めている。中東情勢の専門家は、こうした勢力はイランの意を受けて中東から世界に輸出される原油の供給不安定化を画策し、戦闘終結に向けたイランの対米交渉を優位に進める土台作りに貢献していると分析している。
 ◇2海峡で妨害、スエズ運河にも影
 イエメンの親イラン武装組織フーシ派は7月20日、同国の内戦を巡って対立するサウジアラビア関連の船舶に対する「(海上)封鎖」を宣言。その後、紅海でサウジ産原油を積んだタンカーに対してフーシ派の関与が疑われる攻撃が続き、供給不安が高まった。
 米イランの衝突で原油輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖され、サウジ産原油の大半は紅海の南端に位置するイエメン沖の要衝バベルマンデブ海峡を経由し、日本など各国に輸出されてきた。
 地域情勢に詳しいエジプト人アナリスト、サイード・サディク氏は、ホルムズ海峡の状況次第でエネルギー価格が大きく動くことを目の当たりにしたイランが「世界の石油やガス(の相場)を手中に収めていることに気付いた」と指摘。フーシ派を介した紅海での通航妨害により、トランプ米政権への圧力を一段と強めたと分析する。
 両海峡の安全が脅かされたことで今後、紅海の北部から地中海に抜けるスエズ運河を経由した輸出が増えることも想定される。しかし、29日には同運河に近いエジプト北部の港で米国系企業が所有する商船が無人機攻撃を受け炎上。誰が攻撃したのかは不明だが、一部でイランの関与を示唆する報道も出た。
 ◇制御不能の危険性
 一方、イラクからは親米の湾岸諸国などへの越境攻撃が繰り返され、イラクの親イラン組織「カタイブ・ヒズボラ」などの関与が疑われている。サウジ国防省は29日、石油施設などにイラク領内から攻撃があったと発表し、米国と共に反撃に踏み切った。イラクの武装組織は、ヨルダン駐留米軍基地への攻撃にも関与したとされる。
 サディク氏は、こうした親イラン勢力に関し「イランから武器や資金を援助されており、軍事作戦についてはイランの指示を受けるのが通例だ」と説明する。ただ、外部から攻撃された場合「各組織が標的を選び、攻撃を続ける自律性を持つ」と指摘。必ずしもイランの制御が利かず、事態が想定を超えた方向にエスカレートする可能性もあるとの懸念を示した。 
〔写真説明〕イエメンの親イラン武装組織フーシ派の戦闘員=7月31日、サヌア(EPA時事)