「えっ、旧道も“有料”かよ…!」もはや伝説!? 日本有数の「有料道路だらけ」エリアで“無料化された道”3選 便利になるにはお金がかかった!

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いまでも複数の有料道路が点在する箱根・熱海エリア。かつてはもっと多く「有料道路だらけ」でしたが、償還を終え無料化され、今や生活に欠かせない存在となっているものもあります。3つの道路を紹介します。

今よりもはるかに「有料道路だらけ」だった箱根~熱海

 かつて「天下の険」と唄われ、江戸時代から東海道の要衝であった箱根、そしてその箱根の山々から連なる急峻な峰が海に落ち込む熱海は、自動車交通の時代になっても交通の難所でした。

 山肌を縫うように作られた道路は狭隘で、観光でのクルマの利用の増加により、休日には多くの場所で渋滞が頻発するようになります。またこうした道路は自然災害にも弱く、その対策としてバイパスが有料道路として整備されました。今でも周辺には複数の有料道路がありますが、昔はそれこそ“有料道路だらけ”だったのです。

 これらのいくつかは償還期限を終え無料開放され、観光客だけでなく、地元住民の生活に欠かせない存在となっているものの、かつて有料だったとは想像できないかもしれません。それら元有料道路をいくつか紹介します。

「旧道」と「新道」どっちも有料!? かつての真鶴道路

 神奈川県小田原市から国道135号を南に進むと、海岸線の平野は徐々に狭くなり、西湘バイパス「石橋IC」付近から先は海に落ち込んだ崖の裾を削るように走ります。その先、真鶴町に入ったところで料金所が現れ、真っ直ぐ進むと有料道路の「真鶴ブルーライン」に、左に分流すると無料の国道135号現道へと続きます。

 じつはこの区間の国道135号現道も、かつては有料道路の「真鶴道路」でした。

 真鶴道路の開通まで、国道135号は東海道本線「根府川駅」手前で海沿いから山沿いへと分け入り、谷と尾根をいくつものカーブでつなぎ、「真鶴駅」の山側を通って再び海沿いに戻るというルートをとっていました。道幅は狭く、また集落内を通過するため安全とは言い難い道でした。真鶴道路は、こうした課題を解決するために作られた道なのです。

 ただその真鶴道路も、増大する交通量で、観光シーズンには真鶴町の市街地が激しい渋滞に見舞われるようになります。そのため、真鶴半島の北側の湾部を橋で短絡し、さらに地下へ潜るトンネルで半島を貫くバイパスが、1982年に開通します。

 この新たなバイパスは「真鶴道路(新道)」と名付けられ、かつての真鶴道路は「真鶴道路(旧道)」とされました。つまり料金の異なる有料道路が並行するという、珍しい状況になったのです。

「有料行こう!」判断が求められる道路に?

 真鶴道路(旧道)は、2008年9月に料金徴収期間が満了し、無料開放されます。新道には、真鶴ブルーラインという現在に続く愛称が付けられることになりました。そして国道135号の並行区間は国道指定から外され、神奈川県道740号となります。

 この旧道の無料開放で、小田原と真鶴以南との交通はより便利になり、県道740号(旧国道135号)の交通量も減りました。ただ反面、無料開放により、平日の朝夕や行楽シーズンには以前よりも混雑が目立つようになっています。

 一方、真鶴ブルーラインの名がついた新道は、海抜より低いところを通る「真鶴トンネル」の維持管理にコストがかかることなどから、料金の徴収期間後も有料管理を継続できる「維持管理有料制度」に基づく道路として、料金徴収が続いています。交通量が少ないときは、真鶴道路(旧道)を通っても時間のロスはそれほど大きくありませんが、混雑する時間帯は「時間とコスト」の比較検討が求められます。

無料化「超ありがたい」 熱海〜函南の難所を貫くトンネル

 相模湾を東に望む静岡県熱海市は、それ以外の三方を山に囲まれた傾斜地に市街地が形成されています。そのため、とくに西の函南方面に向かうには、箱根から伊豆半島につながる急峻な山々を越えていく必要があり、かつてメインルートだった静岡県道11号は、標高618mの熱海峠を経由していました。

 ただ熱海峠まで続く急坂は大型車には厳しく、また冬季には降雪や低温による路面凍結のおそれもありました。さらに熱海峠から函南町側は急カーブが続き、道幅は大型車のすれ違いが困難なほどでした。

 こうした課題を解決するために事業化され、1973年に開通したのが、県道11号のバイパス「熱函道路」です。

 熱函道路は県道11号の「笹尻」交差点から南西に進み、熱海峠の南側を全長1268mの「鷹ノ巣山トンネル」で貫きます。トンネルを出たあとは、丹那の盆地を回り込むようにして函南町の中心部に向かい、「平井」交差点で再び県道11号旧道と合流します。

 無料開放は1997年12月で、その直前の通行料金は300円(普通車)でした。しかし時間短縮効果や使い勝手の良さで旧道の選択がありえなかったことを考えると、この無料化は地域の人々にとって朗報だったと言えるでしょう。

 なお、旧熱函道路と熱海峠の旧道はともに県道11号に指定され、函南町内で合流します。函南町から「伊豆スカイライン」熱海峠ICやさらに北の箱根峠方面へ向かう場合、旧道経由の方が近いように思えますが、熱函道路でいったん熱海側の笹尻交差点に進んでから熱海峠に上がっても時間には大差がなく、走りやすさでは後者に軍配が上がります。

自動車専用道でも「難所」 無料化しても変わらず難所「箱根新道」

 箱根の山々の小田原側は、谷筋が深く、箱根外輪山に向けては標高を一気に上げていきます。かつての東海道は「須雲川」沿いを通り、もっとも険しい部分は「七曲り」と呼ばれるつづら折れで標高を稼いでいました。

 しかしこの区間を車道として切り拓いた国道1号は、温泉地へのアクセスが良いこともあって、より傾斜のゆるい宮ノ下から小涌谷を迂回して芦ノ湖に向かうルートを選びます。

 しかし東名高速もまだなかった時代、東海道沿いの物流のメインルートである国道1号にとって、箱根の山道は交通容量が明らかに不足していました。そこで事業化され、1962年に日本で2番目の自動車専用道路として開通したのが国道1号のバイパス「箱根新道」です。

 箱根新道は旧東海道と同じく、箱根湯本付近から須雲川に沿って進み、箱根峠までをほぼ一直線に結びます。そして旧東海道の七曲り付近では、自動車専用道路とは思えない曲率の急カーブ4つで高低差を稼いでいます。

 無料化は2011年7月で、料金徴収期間は約50年にも及びました。無料化直前の通行料金は250円でしたが、国道1号現道経由は時間的なロスが大きかったことから、通過交通はほぼ箱根新道経由を選択せざるを得ず、ある意味“250円かかる現代の関所”だったと言えるでしょう。

 ただ無料化以前からも交通量は多く、箱根峠への登りでは、複数区間で登坂車線が設けられているものの、遅いトラックで流れが阻まれることもしばしばです。また小田原方面への下りでは、「箱根口IC」を先頭に流れが遅くなることもあります。速さよりも走りやすさ、安全性に価値があると考えて利用しましょう。

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 他にも箱根や熱海周辺には、民間の道路事業者が運営する有料道路が複数あります。こうした有料道路は償還制ではないため、無料化されることは基本的にありません。ただいずれの道路も、観光的な価値、またバイパス的な価値が十分にあり、箱根および熱海の価値を高める存在となっていることは、間違いなさそうです。