「スパイ防止」検討本格化へ=人権侵害懸念、議論曲折も―情報活動

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 政府のインテリジェンス(情報活動)の中枢を担う国家情報会議と国家情報局が31日、そろって始動した。高市政権は「インテリジェンス改革の第1弾」と位置付けており、今後、スパイ防止関連法制の整備や対外情報庁の創設など、戦後置き去りにされてきた諜報(ちょうほう)・防諜(ぼうちょう)体制の検討が本格化する。ただ、一連の改革には人権侵害につながりかねないとの懸念が根強く、議論は曲折も予想される。
 「外国情報機関による諸工作が活発に行われているのは確かだ。不正な干渉を防止する仕組みの法制化を一生懸命検討する」。高市早苗首相は先の特別国会で、改革第2弾の実現に意欲を示した。
 検討作業が先行するのは自民党だ。党インテリジェンス戦略本部は28日、政府への提言を取りまとめた。スパイを処罰する「外国干渉防止法」など、諸外国並みの法制度の設計を求める内容だ。安全保障目的で行政機関による通信傍受を認める「対外情報収集法」の検討にも踏み込んだ。
 党関係者は「議論は首相官邸と連携して進めてきた。首相の思い入れは強い」と明かす。
 もっとも、これらは1980年代に野党の反発で廃案となったスパイ防止法案を想起させる。特に通信傍受は憲法が保障する「通信の秘密」に抵触するとの批判が強い。
 犯罪捜査での盗聴を認める通信傍受法が1999年に成立した際、野党は牛歩戦術などを駆使して抵抗した。参政党の神谷宗幣代表は15日の党首討論で「情報活動の取り締まりは大事だ」と改革の必要性は認めつつ、「国民の情報を傍受するのは順番が違う」と懸念を隠さなかった。
 政府は改革第2弾を具体化するため、8月中にも有識者会議を設置。そこでの検討を踏まえ、関連法案を早ければ来年の通常国会に提出したい考えだ。ただ、対外情報収集法などは「極めてハードルが高い」(政府関係者)とみており、どこまで踏み込むかは慎重に検討する構えだ。
 国家情報会議の初会合は報道陣に公開されず、国家情報局もセレモニーのない静かな船出となった。情報局関係者は「目立たない方がいいという政権幹部の判断だった」と明かす。首相は記者団の取材に応じなかった。 
〔写真説明〕新設された国家情報局の看板を掛ける木原稔官房長官(右)と原和也同局長。看板は木原氏が揮毫(きごう)した=31日、東京・永田町(内閣広報室提供)
〔写真説明〕新設された国家情報局。入室は制限されており、電子機器を保管するロッカーが置かれている=31日午後、東京・永田町