大人2人乗りできる「タンデム自転車」なぜ公道OKに? 最後の解禁は東京、では最初に走れるようにした意外な県とは

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前後に2人で乗ってこぐ「タンデム自転車」。じつは少し前まで、多くの地域で2人乗りでの公道走行が認められていませんでした。それがなぜ、いまでは全国の都道府県で走れるようになったのでしょうか。

ずっと「2人乗り禁止」だったタンデム自転車

 サドルとペダルが前後に2つずつ並び、2人で息を合わせてこぐ「タンデム自転車」。前の人がハンドルとブレーキを操作し、後ろの人はペダルをこぐことに専念します。

 実はこの乗り物、つい最近まで、日本の多くの地域では公道を2人乗りで走ることができませんでした。道路交通法と各都道府県の公安委員会規則により、一般的な自転車の2人乗りは原則として認められておらず、タンデム自転車も長らく制限の対象になっていたためです。

 ところが2023年7月1日、全国で最後まで制限が残っていた東京都で、タンデム自転車の2人乗りでの公道走行が可能になりました。これにより、北は北海道から南は沖縄まで、全国でタンデム自転車による2人乗りで公道を走れるようになったのです。

 では、長く禁じられていた2人乗り自転車が、なぜ全国で走行可能になったのでしょうか。そこには、長い年月をかけた地道な歩みがありました。

 そもそも、タンデム自転車には、ほかの自転車にはない大きな特長があります。前の人がハンドルを操作するため、後ろの席には、1人では自転車に乗ることが難しい人も乗れるのです。

 とくに注目されたのが、視覚障害のある人の移動やレジャーの手段としての可能性です。後ろの席に乗れば、前の席で操作する人と一緒に風を切って走ることができます。

 パラサイクリングでは、視覚障害のある選手が「パイロット」と呼ばれる前席の選手とともに、タンデム自転車で競技に参加しています。

 こうした利点から、各地で「タンデム自転車に乗りたい」という声が上がるようになりました。

「視覚障害者の足」に 各地の実証走行が後押し

 公道でのタンデム自転車の2人乗りが都道府県の規則で初めて認められたのは、1978年の長野県とされています。

 ただし、すぐに全国へ広がったわけではありません。タンデム自転車は一般的な自転車より全長が長く、重量もあるため、慣れないと扱いが難しいという面もあります。そのため各都道府県では、解禁の前に、実際に走らせて確かめる試みや、住民から意見を募る手続きなどを重ねてきました。

 こうした積み重ねを経て、各地で実証走行や検討が進められ、ひとつ、またひとつと、走行を認める地域が増えていきました。とくに2010年代以降は、視覚障害者の移動手段としての理解の広がりなどもあり、解禁の流れが加速していったとされています。

 そして最後まで残ったのが、交通量が多く道路事情も複雑な東京都でした。その東京都が2023年に解禁したことで、ついに全国47都道府県でタンデム自転車による2人乗りでの公道走行が認められる形になりました。1978年に長野県で公道走行が認められてから、実に45年をかけて全国へ広がったことになります。

 なお、タンデム自転車は「普通自転車」とは扱いが異なるため、歩道など「普通自転車」向けの通行が認められた場所でも、走れない場合があります。利用する際は、走る場所のルールを確認することも大切です。