大分空港と西大分を結ぶ日本唯一のホーバークラフトが、2026年7月26日で就航1周年を迎えました。無事故で「安全を証明した」1年目を経て、2年目は搭乗率5割を目標に掲げます。夜間便の導入や別府への新航路構想など、勝負の年に向けた新展開を詳報します
「安全を証明する1年だった」今後は搭乗率5割を目標に
大分空港アクセス便として運航するホーバークラフトが、2026年7月26日に就航1周年を迎えました。
日本で唯一のホーバークラフト運航事業者である大分第一ホーバードライブは、節目となるこの日に西大分ターミナルと空港ターミナルでイベントを開催し、朝から多くの来場者で賑わいました。
記念イベントの実施に伴い、26日の空港アクセス便は全便運休となりましたが、会場ではホーバークラフトの自由見学や浮上体験など、普段は体験できない企画が並び、家族連れを中心に長い列ができました。
メイン会場となった西大分ターミナルでは、キッチンカーが並ぶ「縁日ひろば」やお菓子まきが行われたほか、船長による解説付きの船内見学、ホーバークラフトが陸上で浮き上がる様子を体験できる「浮上体験」が人気を集めていました。今回のイベントは、ホーバークラフトの仕組みや特徴を間近で感じられる貴重な機会となったようで、来場者からは「乗るだけではわからない魅力がある」「子どもが喜んでいた」といった声が聞かれました。
1周年を迎えるにあたり、同社の小田典史社長は7月23日に会見を開き、この1年を振り返っています。会見で小田社長は「県民の皆様、関係各所のご理解ご協力のおかげで、無事故で1周年を迎えることができました。1年目は安全を証明することが目標でした」と述べ、安全運航を最優先した姿勢を強調しました。
一方で、課題も残ります。そのひとつが搭乗率で、現状2~3割程度にとどまっています。これについて、小田社長は「安全については今後も尽力しつつ、2年目は勝負の年にしたい」と語り、搭乗率5割の達成を目標に掲げました。
これまで関西・関東方面(伊丹・羽田)への宣伝はほとんど行ってこなかったとし、「観光資源としてのホーバークラフトの知名度を高め、関西・関東にも周知できれば、5割は十分達成可能だと考えている」と明言し、誘客に力を入れる方針を示しました。
増便計画と夜間便の検討「往復利用を高めたい」
また2026年7月現在、空港アクセス便は1日10便の運航で、夜間はありません。小田社長は「往復での利用を高めるためには、夜間便の運航が不可欠」とし、早ければ8月中にも夜間便開始のアナウンスを行いたい考えを示しました。
将来的には1日16便程度の体制を目指すとしていますが、「いきなり16便ではなく、段階的に増便していく」と慎重な姿勢も見せました。需要の多い早朝便の増便も視野に入れており、利便性向上に向けた取り組みを進めるとしています。
なお、定時運航率は約82%にとどまっています。欠航の主な要因は気象・海象などによるものです。これまでは欠航判断を厳しくしていましたが、運航実績から得られた知見を踏まえ、安全基準を「少し緩めていく」方針も示しました。
一方で、周遊便は西大分ターミナル発着で搭乗率9割、空港ターミナル発着で4~5割と好調に推移しています。夜間の周遊便も始まったばかりで、観光コンテンツとしての可能性が広がっています。
また、今回の周年イベントに合わせて、同社は「御船印めぐりプロジェクト」に参加しました。御船印は神社仏閣の御朱印の“船バージョン”として2021年に日本旅客船協会の公認事業としてスタートした取り組みで、参加各社が独自の印を発行し、港や船内で販売しています。同社は第171番社として加わり、ホーバークラフトならではの印が新たな旅の楽しみとなりそうです。
「砂浜発着を検討」大分駅と結ぶ定額タクシーも開始
会見では、別府航路の就航計画も明らかにされました。インバウンド需要を含め、大分観光の中心は別府・湯布院に集中していることから、ホーバークラフトの新たな需要創出を狙います。今秋に6日程度のイベントとして実証実験を行い、搭乗率を調べる予定です。
発着場所はホーバークラフトの特性を活かし、近隣の砂浜を検討しています。支払方法は電子決済のみとし、砂除けの設置程度にとどめるなど、インフラ整備は最小限に抑える計画です。別府と大分空港を結ぶ航路に加え、別府発着の周遊便も構想されています。
加えて、西大分ターミナルでは、大分駅と結ぶ定額600円のタクシーサービスが始まっています。相乗り可能で、3人乗車なら1人あたり200円で利用できる手軽さが特徴です。平日は10便、土日祝は12便が運行され、ホーバークラフト全便に接続しています。アクセス改善により、利用環境は着実に整いつつあります。
大分のホーバークラフトは、日本で唯一の乗りものです。空港アクセスとしての利便性だけでなく、観光資源としての魅力も高まっています。就航2年目に向け、さらなる増便や新航路の開拓を進める同社。この機会に、大分県を訪れる際には一度体験してみてはいかがでしょうか。