ハイテク企業が上場ラッシュ=対米競争にらみ「本国回帰」―中国

AIエージェントで変わるSaaS企業

 【北京時事】中国のハイテク企業が国内株式市場に相次ぎ上場している。世界最大の米国市場を選ばずに、上海や香港で成長資金を確保する「本国回帰」の動きが鮮明だ。トランプ米政権は中国を「最大の競争相手」と位置付けて締め付けを強めてきたが、中国勢の資金調達は活発で、技術覇権争いに拍車が掛かっている。
 中国半導体メモリー最大手「長※(※森の木3つを金に)存儲技術(CXMT)」の親会社は27日、アジアで今年最大級の新規株式公開(IPO)を果たした。記憶用半導体であるDRAMの中国最大手で、世界4位のシェアを持つ。上海証券取引所の新興企業向け市場「科創板」で同社の株価は一時、公開価格の5.7倍まで急騰。投資家の買いが殺到し、時価総額で国内首位に躍り出た。最大で666億元(約1兆6000億円)の調達を視野に入れる。
 大手会計事務所デロイトによると、今年1~6月の中国企業のIPOは、中国本土の3市場(上海、深セン、北京)で前年同期比4割増の70件、香港市場では9割増の78件に上ったとみられる。背景にはハイテク分野で「自立自強」を掲げる中国の国家戦略がある。政府系ファンドを通じて成長企業に資金支援を続けており、取引所の上場基準も緩和した。
 高性能の人工知能(AI)開発で世界に衝撃を与えた中国新興ディープシーク(深度求索)の台頭も「上場機運を高めている」(デロイト)。ディープシークは2027年にも上海上場を目指すと報じられた。最新AI「Kimi K3」で米国勢を猛追する月之暗面(ムーンショットAI)は、早ければ今後6カ月以内の香港上場に向けて準備中だという。
 一方、米主要市場での中国企業のIPOは減少傾向にある。米議会の調査によれば、21年は40件を超えたが、今年上半期は1件にとどまったという。トランプ政権は最近、急成長を遂げたCXMTなどを中国軍関連企業に指定して、標的にした。米側は「中国勢への監視を一段と強める」(証券取引委員会)と警告しており、米中対立に収束する気配はない。 
〔写真説明〕中国半導体メモリー最大手「長※(金の下に金の横並び)存儲技術(CXMT)」の本社=16日、中国安徽省合肥市(AFP時事)