茂木敏充外相と中国の王毅共産党政治局員兼外相が訪問先のフィリピンで短時間言葉を交わした。両外相の対話は昨年10月の電話会談以来約9カ月ぶりで、昨年11月の高市早苗首相による台湾有事発言で日中関係が悪化してからは初めて。ただ、正式な外相会談を行う見通しは立っておらず、関係改善に向けた道は険しいままだ。
茂木氏は22日、マニラで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議の合間に、王氏と通訳抜きであいさつを交わした。茂木氏は23日の記者会見で「すれ違う形で接触した。2国間関係について話した」と説明したが、詳細なやりとりは明かさなかった。
ASEAN関連外相会議は例年、日中外相が顔を合わせる場となる。今回、王氏は21日の夕食会に姿を見せず、ASEANと日中韓3カ国の外相会議も欠席した。それだけに日本政府内からは「短時間でもやりとりできたのは有意義だ」(関係者)との好意的な見方が広がった。
だが、事態打開に向けた外相会談は見送られ、関係改善への糸口はつかめていない。首相発言に反発する中国はレアアース(希土類)を含む軍民両用品の対日輸出規制を拡大し、高市政権を「新型軍国主義」と批判。19日、中国海軍のミサイル駆逐艦が沖ノ鳥島(東京都)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で射撃訓練を実施するなど、日中の緊張は続いている。
王氏は22日、茂木氏と接触する直前のASEANとの外相会議で、日本を念頭に「軍国主義の復活を決して許さない」とけん制。日本政府筋は「中国の姿勢は変わらない。今後も軍国主義批判を続けるだろう」と語った。
米国が日中関係悪化に「憂慮」(ルビオ国務長官)を示していることを踏まえ、日本政府は首相と習近平国家主席との対話の機会を探る。11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を想定するが、政府関係者は「今の日中関係で首脳会談はかなり難しい」と認めた。
〔写真説明〕茂木敏充外相(写真左)と中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)