「ここまでケガが続くとは考えていなかった」2大会連続W杯出場は叶わず…自身の体と向き合い、完全復活を誓う相馬勇紀

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 FC町田ゼルビアは明治安田J1百年構想リーグは5位にとどまったが、同時期に行われたAFCチャンピオンズリーグ・エリートではファイナルまで勝ち進んだ。FC東京戦から幕を開ける2026/27シーズンはもちろんJ1リーグ優勝、ACL2制覇を目指して突き進んでいくことになる。

 夏開幕元年となる新シーズンに向けて松尾佑介、明本考浩という実力者を補強。ミッチェル・デュークも呼び戻して攻撃面のテコ入れを図った。その動きを歓迎してい一人が相馬勇紀だ。沖縄キャンプでは、前向きにこう話していた。

「明本と松尾は2人ともキャラクターが良くて、本当に明るくすぐに馴染んでいますし、クオリティも高いと思います。(黒田剛)監督も『いい食材がいっぱい揃った分、あとはいい調理をして整えていく』という話をしていましたけど、本当にその通り。いい個がそれぞれに特徴を出して、一つになって戦えたら、本当にいい戦いができる。J1優勝という目標を掲げてやっているんで、そこに向けて頑張りたいと思います」

 直近のFIFAワールドカップ2026の日本代表メンバー入りには、あと一歩のところで届かなかった。大会前に南野拓実、三笘薫という攻撃のキーマンが揃って負傷。初戦のオランダ戦3日前には遠藤航も離脱するというアクシデントが起き、相馬が追加招集で呼ばれる可能性もあったが、現実とはならなかった。

「航くんがボランチなので、同じポジションの人が入るかなという感覚ではいました。バックアップメンバーには入っていましたし、ギリギリまでパスポートを持って歩いて、家族のチケットも確保していました。最後に電話が鳴らなかったのは少し悔しさがありました。今年は大切なタイミングにケガをしてしまって『ケガなくいいコンディションで行けていたらな……』という後悔はありました。でも、大会が始まってからは、仲良く切磋琢磨していたメンバーが必死に戦っていたので、素直に応援していましたね。ああいうみんなの戦いを見ていたら、『またあのユニフォームを着て戦いたい』と思ってしまった。まずはJリーグで一番輝けるように頑張ろうという気持ちになりました」。相馬はこの1カ月間の偽らざる胸の内を吐露した。

 もしも追加招集が相馬だったら、個の仕掛けで局面を打開してくれたかもしれない……。そんな思いを抱いた関係者やサポーターもいただろう。しかし、相馬が2022年のカタール大会に続く2度目の世界舞台に立つことはなかった。その事実をしっかりと受け止め、さらなる進化を遂げなければならない。本人も認めるように、百年構想リーグの期間中はケガが続いてコンスタントに活躍できなかった。その分、強靭な肉体を作り上げ、猛暑の夏開幕となるJ1で異彩を放ち、ACL2との掛け持ちも乗り切っていくことが肝要だ。相馬自身のオフ期間はそのための準備に時間を割いたという。

「昨季、結構強めの捻挫をしてしまい、その影響で肉離れもしてしまったので、とにかくケガをしないようにこのオフシーズンは治療に行って、徹底的に治しました。それで足が相当良くなったんで、ここからフィジカルの状態を引き上げて、キレを出すようなイメージでやっています。今はスプリントトレーニングというのか、フォームのトレーニングを重視していて、少ないパワーで走力を発揮できればケガのリスクが減るんです。1年通してプレーするというのは本当に大事だなと痛感していますし、今までの自分は全くケガをせずに来ていたんで、ここまでケガが続くとは考えていなかった。年齢も上がってきたので、自分の体をしっかり向き合うことが重要ですね」と相馬は29歳になった今をしっかりと受け止め、能力を最大限出せるように、地道な努力を続けているという。

 今大会に主軸として参戦した谷口彰悟、伊東純也を見ても分かる通り、30代になってから伸びる選手は何人もいる。相馬もここから一段階、二段階飛躍して、再び日の丸を背負うことができるはず。今回のワールドカップを逃した分、闘争心は誰よりも強い。持ち前のドリブル突破、フィニッシュの精度を引き上げ、欧州組にも引けを取らないプレーを見せ続けることが、日本代表復帰のポイントになってくるだろう。

 町田としても、相馬がいるかいないか、好調か否かで試合内容や戦い方が大きく変わってくる。松尾、明本と新たなコンビを確立し、これまで以上に破壊力あるアタックを見せられるようになれば、チームの成績も自ずと上がってくる。町田が悲願のJ1タイトルを掴もうと思うなら、背番号7のフル稼働、そして突き抜けたパフォーマンスが必要不可欠。そういう意味でも、相馬勇紀の一挙手一投足から目が離せない。

取材・文=元川悦子