これぞ“乗り得”!? 4社直通111kmの“特急並み”快速に乗車 2時間45分の長旅が疲れ知らずだった

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鬼怒川温泉~喜多方間111.6kmを2時間45分かけて走る快速「AIZUマウントエクスプレス1号」は、東武・野岩鉄道・会津鉄道・JR東日本の4社にまたがって走る列車です。全区間を乗り通してみました。

特急車両並みのAT-700形を使用

 鬼怒川温泉~会津若松間を走る快速「AIZUマウントエクスプレス」は、全国的に見てかなり特異な列車です。東武・野岩鉄道・会津鉄道・JR東日本の4社にまたがって運行する列車だからです。

 4社にまたがる列車はほかにもあります。例えば、相鉄・東急・東京メトロ・東武にまたがって海老名~小川町間を直通する列車や、横浜高速鉄道・東急・東京メトロ・西武にまたがって元町・中華街~西武秩父間を走る「S-TRAIN」があります。また、寝台特急「サンライズ瀬戸」は、JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国にまたがって走ります。しかし、大手私鉄→第三セクター鉄道→JRの直通は、「AIZUマウントエクスプレス」だけです。

 特に土休日の鬼怒川温泉発「AIZUマウントエクスプレス1号」は、不定期で会津若松から先の喜多方まで、111.6kmを2時間45分かけて走ります。

 この列車がどのように利用されているのか確かめるべく、実際に乗ってみました。

 東武浅草駅を朝7時30分に出発する特急「リバティきぬ105号」に乗ると、終点の東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅で快速「AIZUマウントエクスプレス1号」に接続します。乗り換えは同一ホームで2分なので、非常に良い接続といえます。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、「リバティきぬ105号」より1時間早い「リバティ会津101号」で鬼怒川温泉に8時38分に到着しました。しばらくすると、会津若松発の上り快速「AIZUマウントエクスプレス2号」がやって来ました。鬼怒川温泉着は定刻より6分遅れの9時15分です。23人が下車し、接続する浅草行きの特急「きぬ116号」に数人が乗り換えていきました。

「AIZUマウントエクスプレス2号」は、折り返し9時38分発の快速「AIZUマウントエクスプレス1号」になりますが、すぐには乗り込めません。おもしろいのは、側窓のカーテンを閉めてから折り返しの作業をして、終わるとカーテンを上げることです。側扉は出発の数分前に開きます。

 車両は鮮やかな赤い塗装のAT-700形気動車2両です。会津鉄道の看板車両の一つであり、車内はフットレスト付きのリクライニングシートが並びます。側壁は木目で高級感があり、かつての小田急ロマンスカーのような細長い折り畳みテーブルが窓側の側壁に付いています。座席を回転させて向かい合わせにすると真価を発揮するもので、回転させないと前の座席の背面テーブルと干渉します。

 座席の座り心地は柔らかく、リクライニングの角度は大き目でした。鬼怒川温泉まで乗って来た東武500系電車「リバティ」と比較しても遜色ありません。デッキこそありませんが、会津若松行き特急だとしても通用するグレードです。

 なお、座席と側窓の位置は合いません。下りの会津若松行きであれば、座席番号6番の進行方向左側の視界が広く、ベストだと感じます。

快速列車だけど通過駅は少なめ

 喜多方行きの快速「AIZUマウントエクスプレス1号」が27人の乗客を乗せて、9時38分、鬼怒川温泉を出発しました。9時42分の鬼怒川公園で1人下車します。車内放送で「交通系ICカードは使えない」と呼び掛けた後で、9時46分の新藤原から野岩鉄道会津鬼怒川線に入ります。快速列車であるものの、会津若松までで通過する駅は男鹿高原だけです。

 野岩鉄道線内の停車駅では乗り降りがありません。10時23分の会津高原尾瀬口で1人乗車しました。ここから会津鉄道会津線です。同線内の会津高原尾瀬口~西若松間も全駅に停車します。10時33分の会津山村道場でも1人乗車しました。

 10時45分の会津田島は、浅草発特急「リバティ会津」の終着駅だけに、6人が下車して4人が乗車しました。親子連れが乗り込んできて、お母さんが小さな男の子に「あ、いい電車だよ」とうれしそう。実際にAT-700形は快適で、疲れはありません。

 10時50分の田島高校前で1人が乗車。その後は乗降がありませんでした。養鱒公園では子供が手を振ってくれて、なごみます。

 11時2分の会津下郷で1人が乗車しました。カフェが併設された駅であり、カフェ商品の車内販売があることに驚きました。地域の名産であるニジマスを使った「ますバーガー」と美味しいコーヒーを購入しました。なお、翌日の「お座トロ展望列車」で会津下郷に停車したときには買えなかったため、レアな体験かもしれません。

 その後も乗降がなく、11時13分の塔のへつりでようやく3人が乗車。11時19分、茅葺き屋根が印象的な湯野上温泉では5人が下車、1人が乗車と動きがありました。

 11時45分の南若松で1人が下車、11時49分の西若松で8人が乗車しました。

 ここからJR只見線です。11時53分の七日町で6人が乗車。11時57分着の会津若松では24人が下車し、11人が乗車しました。定刻だと9分間停車しますが、行き違い列車が遅れたため、7分遅れで出発。ここからのJR磐越西線は延長運転区間で、初めて「快速」らしく駅を通過していきます。7分遅れのまま12時22分、塩川に到着し2人が下車しました。

 遅れはそのままで12時30分、喜多方に到着。この喜多方までの乗客は、鬼怒川温泉からより西若松からが中心で、JR区間の需要が多く見えました。

 2時間45分+遅れ7分という長丁場でも座席は快適で、疲れは残りません。ダイヤを見ると下り会津田島14時23分発・会津若松行きの快速「リレー119号」もAT-700形のようです。この列車は浅草発の特急「リバティ会津119号」と接続しますが、こうした速達列車でこそ真価を発揮する車両のように感じました。