アメリカの新興メーカー、リージェント社が開発中の「シーグライダー」が、日本での社会実装へ向け動き出しました。これとは別に、防衛部門でも日本への売り込みを活発化させると見られています。
アメリカの新興メーカー、リージェント社が開発中の飛行機と船の特徴をあわせ持った「シーグライダー」は、日本で社会実装に向けて民間型が動き出しましたが、これとは別に防衛部門でも日本への売り込みを活発にすると見られています。民間・防衛関連の両用は、最近日本国内で防衛装備品の輸出へ取り組む際に出る「デュアルユース」に通じますが、リージェント社はなぜ日本へ照準を合わせているのでしょう。
シーグライダーの民間機は2026年6月10日に商船三井とJAL(日本航空)、ロイド船級協会が社会実装を見据え、共同開発プロジェクトの合意書を交わしました。シーグライダーの社会実装への取り組みは日本初となるため、使用認証や運航許可を取得するプロセスの確立を目的としています。
シーグライダーは、地表や水面付近で翼が発揮する「地面効果」を活用して海面スレスレを飛び、水の抵抗を受けず高速を出すことができます。ジェット輸送機のように高い空を飛ぶ際に欠かせない与圧室も必要ないながらも最大時速300kmを計画し、実用化すれば、沿岸都市や離島を結ぶ航海時間の短縮につながります。さらに、電動のため高いエネルギー効率と二酸化炭素を排出しない「ゼロエミッション」での運航が期待されています。
こうしたメリットは、防衛関連でも大量の物資の輸送や、ドローン(無人機)の発射母機、国籍不明の潜水艦が海中に隠れていないか探る哨戒任務に役立てることもできます。
近年、日本が官民を挙げて取り組んでいる防衛装備品の輸出を考える時に聞く「デュアルユース」に通じ、リージェント社が防衛部門で日本市場に照準を合わせている理由は同社の公式サイトから一目で分かります。
中国を意識しているのです。
日本での売り込みはドローンから
公式サイトでは中国の海洋進出を脅威とする記述とともに、シーグライダーは例えば、グアムから日本やフィリピンへは輸送船なら4日間かかるところを、10時間で到達するなどと動画で例示されています。これは主にアメリカ軍向けであり、有人機の事例ですが、その一方、シーグライダーの軍用型には、有人機をそっくりそのまま小型化した無人機(ドローン)もあります。
ドローンの方は積載量が約25kgと小さく航続距離も180km程度。このため輸送や偵察、哨戒任務が記されつつも、有人機の補助が主な任務になると推測できます。そして、リージェント社の関係者によると、防衛部門ではまず、ドローンの売り込みが先になる可能性が出ているとのことです。これは防衛部門での無人機の活用が、昨今大きな課題であると考えられるためです。
民間型に話を戻せば、今後、関係省庁との連携を強化し、2030年頃の日本でのシーグライダーの商用化に向けて取り組みを進めるとのこと。一方、防衛部門では、例えば日本国内で整備や定期点検を行う場合は国内メーカーとの提携が欠かせないため、その枠組みづくりが先になります。
そのため、売り込みが始まるのはこれからと見られていますが、民間型の有人機商用化が実現しつつ、ドローンの防衛部門でも活用策が多く出れば、有人機とドローンを問わず日本国内へのデュアルユースの売り込みがシーグライダーで盛んになるかもしれません。