欧州次世代戦闘機計画が頓挫!→日本ら「GCAP」に影響は? “参加”匂わせるドイツで進行中の「独自戦略」とは

2026年工作機械好調の要因は?

フランスなどと進めてきた次世代戦闘機の共同開発が中止となったドイツ。今後の動向が注目されるなか、カギを握るのが無人戦闘機(CCA)です。GCAPへの参加はあるのでしょうか。

同じ6月に発表された無人戦闘機

 フランスとドイツ、スペインが進めてきた次世代戦闘機の共同開発が2026年6月に中止となりました。今後、特にドイツについては日本とイギリス、イタリアが進める「GCAP(次期戦闘機)」へ参加するか否かに関心が持たれています。その際は、ドイツが導入を急ぐ無人戦闘機(CCA: Collaborative Combat Aircraft)を抜きに考えることはできない可能性があります。

 2017年7月にフランスとドイツでまず合意された「次世代戦闘機(NGF)」は、「将来戦闘航空システム(FCAS)」の一環として重要な役割を果たすはずでした。しかし開発が進むにつれ、両国、ならびにフランス側のダッソー・アビエーションとドイツ側のエアバス・ディフェンス・アンド・スペースとの間で不協和音がたびたび話題になり、多くの人が予想したように2026年6月に中止となりました。

 まさにその6月、エアバスはU760「レイブンストーム」と名付けた無人戦闘機を発表しています。

 無人戦闘機は有人戦闘機に代わり、危険な任務に投入されたり有人機を護衛したりします。U760は2030年代初頭の実用化が考えられていますが、エアバスはさらに6月に同社の無人機レパートリーのモデル名を「U」の後に3桁の番号を付けるよう一律に改称。その中には無人戦闘機であるU740「ヴァルキリー」もありました。

 U740の改称前の名前は「クラトス・ヴァルキリー・ウィズ・エアバス・ミッションシステム」。2025年7月に発表され、文字通りアメリカの新興メーカー、クラトスが開発中のXQ-58A無人戦闘機にAI(人工知能)を載せたエアバス独自のミッションシステムを組み込み、2026年後半の初飛行を予定しています。

 機体本体をアメリカ製にし“頭脳”をヨーロッパ製にしたのは、ドイツ空軍へ2029年までに無人戦闘機を提供するため開発期間を短くしたい思惑があるとされています。この2029年というタイムラインは、2030年ごろに退役を迎える旧式の「トーネード」戦闘機に代わりドイツ空軍の攻撃力を無人戦闘機で維持するためです。

 ここまでなら、ドイツの無人戦闘機構想は他国とそれほど変わりないものの、エアバスがU760の実用化を2030年代とし「次なる進化」として発表しているのは、U740(もしくはその競合機)→U760という“2ステップ”で戦力の充実を狙っていることを示し、ドイツの無人戦闘機への力の入れ方が分かります。

無人戦闘機があるからGCAPへは……どっち?

 ドイツに限らず各国で無人戦闘機の開発が盛んなのは、AIの搭載などで今後の性能向上が大きく期待できるためです。無人戦闘機がこの先に危険でハイレベルなミッションをこなせば、パイロットが乗った戦闘機は最新の第6世代機でなくてもよくなり、ドイツでは、次世代戦闘機との入れ替えが当初予定されていた「ユーロファイター」の延命にもなり得ます。さらに次世代戦闘機開発へ性急に取り組まなくてもよく、GCAPへの参加交渉へすぐに取りかかる必要もなくなります。

 その一方、次世代戦闘機に代わるプロジェクトがなければドイツは航空機製造の技術の蓄積と維持を出来ず、自国の航空機産業の地盤沈下を招きかねません。無人戦闘機の開発・製造のみで国内産業が満たされればこの限りではないものの、有人戦闘機自体の開発も世界で潰えていない中、ドイツとして無人戦闘機「一択」は時期尚早かもしれず、この場合はGCAPへの参加を打診してくる可能性も拭えないでしょう。

加えて、GCAPもまだどの無人戦闘機を“随伴”させるか明らかにされていません。ドイツは培いつつある無人戦闘機の開発と運用力を武器に交渉を仕掛けてくるパターンも考えられるでしょう。

 一方で、ドイツがGCAPへ参加を望んだ場合、日本とイギリス、イタリアがこれまでにつくった枠組みが変更される可能性もあり、そうなるとGCAPの開発そのものが遅れるリスクも存在します。日本は今後、「無人戦闘機」も含め、ドイツの動きを観察するべきなのは間違いないと筆者は考えています。