夜行高速バスといえば、基本的に運賃は安価ですが、窮屈でなかなか眠れないという印象を持つ人も多いでしょう。しかし、近年は個室や半個室、豪華シートを備え、翌日に疲れを残さないほど快適な車両も登場しています。今回は、いち押しの豪華バスについて取り上げます。
周囲の視線が気にならない半個室バス
夜行高速バスといえば、新幹線や飛行機に比べて運賃は安い一方、座席は窮屈で、十分に眠れないという印象があるかもしれません。しかし料金は高めですが、翌日に疲れが残らないほど快適な座席やサービスをしているバスも存在します。今回はそのような日本国内でも最高峰の豪華夜行バスを取り上げます。
●ウィラー「リボーン」
ウィラーが運行する夜行高速バスの、最高級クラスの座席です。東京~京都・大阪間や東京~名古屋間などで運行されています。3列座席としては最高の設備であり、座席間隔は158cmもあります。2列座席にも劣らない快適性を持ちます。
個室型の2列バスと比べるとプライベート性ではやや劣りますが、シェル型シートによって周囲の視線が遮られ、他の乗客をほとんど意識せずに過ごせます。座席の完成度も高く、快適性の面でも2列シートの個室バスと大差ないレベルです。テーブルやコンセント、ドリンクホルダー、毛布、網ポケットなどの設備も充実し、洗練されたインテリアも魅力のあるバスです。
●海部観光「マイ・フローラ」
バスターミナル東京八重洲・バスタ新宿~徳島駅前・阿南津乃峰営業所横間を結ぶ夜行高速バスです。2011(平成23)年に登場。半個室タイプの2列シートというスタイルは大きな話題となり、その後登場する高級夜行バスに大きな影響を与えました。木目調のインテリアや豪華で広い洗面所は、現在でも上位の高級感といえます。座席も横幅が広く、非常に快適です。さらに運転技術に定評のある運転士がハンドルを握り、走行中の揺れが少なく、乗り心地の良さも特徴です。
●西鉄バス「はかた号」のプレミアムシート
バスタ新宿~小倉駅前・博多バスターミナル間を結ぶ夜行高速バスです。所要時間は約14時間を誇り、「キングオブ深夜バス」と呼ばれます。前列に4席設置されたプレミアムシートは半個室型です。2014年から運行されている旧型と、2020年登場の新型があり、旧型も続行車として運用されています。
新型は本革シートで電動リクライニングを装備、ハンガー、ロールカーテン、ワイヤレス携帯充電器、大型テーブル、座面送風、背面ヒーターなど設備が充実しています。なお、筆者は旧型の最前列がかなり好きです。設備面では新型と大差はないですが、個室前方にも窓があり、前方が見られる楽しみがあります。
もっと快適に!完全個室やフルフラット座席も
●JRバス関東「ドリームルリエ」のプレシャスシート
東京駅八重洲口・バスタ新宿~大阪駅JR高速バスターミナル間を結ぶ夜行高速バスです。プレシャスシートは半個室型2列シートで、プライベート空間と快適性を高いレベルで両立させています。設備は、コンセントまたはUSBポート、毛布、スリッパ、Wi-Fi、アメニティグッズなどがあります。室内は華やかなインテリアではありませんが、リクライニング時の座席の快適性が、際立って優れています。座席型2列シート夜行バスの中では、一番筆者の好みに合った座席でした。
なお、ジェイアールバス関東によると「ドリームルリエ17・18号」は6月30日まで車両運用の都合で運行休止となっています。
●関東バス「ドリームスリーパー」
バスタ新宿~大阪駅・JR奈良駅間を結びます。国内で唯一の扉付き個室を備えた夜行高速バスです。運行は基本的に金・土曜のみ。
夜行バスの頂点に立つ設備として、NASAの理論を取り入れた「ゼログラビティシート」を採用しています。寝心地は好みが分かれると感じますが、クッション性に優れ、足をほぼ水平に伸ばせることは大きな魅力です。アメニティグッズも充実しており、スリッパ、歯ブラシセット、ウェットタオル、ミネラルウォーター、めぐリズム、マスクのほか、リラックスウェアやブランケット、ヘッドフォン、iPhone / Android用USBケーブルなども貸し出しされます。
●高知駅前観光「フラットン」
バスターミナル東京八重洲~高速鳴門・JR高知駅間を結ぶ夜行高速バスで、フルフラットになる特殊座席「ソメイユプロフォン」を備えています。
座席配列は1+1+1列で、個室型2列座席に比べると横幅が狭いものの、完全に横になれるというメリットは大きく、寝台は3方向がカーテンで囲まれるため、プライベート空間もしっかりとあるのが特徴です。さらに改良された新型座席は幅53cm、高さが上段寝台で51~73cm、下段寝台で55cm、寝台長さ182cmと拡大し、荷物置き場や充電設備も備わっています。
寝心地は、横幅が狭いこと以外は夜行バスの中でも最高といえます。熟睡している乗客を筆者は何回か見かけたことがあります。筆者自身もこのようなフルフラットになる座席は運行時間が長い路線にこそ普及してほしいと感じます。
●番外:全但バス「ラグリア号グリーンルーム」
このバスは昼行便ですが、完全個室を備えたユニークな存在です。大阪(阪急三番街)~城崎温泉駅間、大阪(阪急三番街)~湯村温泉間で運行。通常座席4列分のスペースを使って、大型座席のある完全個室が設けられています。Wi-Fiに加え個室内は充電用コンセント、空気清浄機、大型モニター、使い捨てのスリッパなども備わります。通常運賃に追加料金1600円を加えるだけで、この個室空間と充実した設備を利用できることを考えると大きな魅力です。