アジア最長の「ぐるっと回転する橋」が令和に新設!いったいナゼ? 固唾を飲んで見守る“パフォーマンスタイム”

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台湾初「90度可変する」水平旋回橋である「大港橋」は、この20年で大きく景観が変わりつつある高雄の進化を示す象徴となっています。

90度回転する「廻旋橋」としてはアジア最長の大港橋

 台湾南部の大都市・高雄。この20年ほどで街の景観は少しずつ、しかし、大きく変わりつつあります。

 特に象徴的なのが2016年に開通したLRTです。街中を走る路面電車ですが、この軌道周辺の80%以上に「緑化」がなされ、都市部でありながらも穏やかなゆとりを感じる景観になりました。

 そしてもう一つが、高雄港の旧倉庫街のリノベーションです。2006年に政府が直接運営するカタチでアート複合施設に生まれ変わりました。

 これに伴い2020年、旧倉庫街近くに新設されたのが「大港橋」です。この橋もまた、近年の高雄の進化を象徴するスポットとして特に注目を浴びています。

その大きな理由は、台湾初となる「90度回転する」水平旋回橋だからです。日本でもいくつかあるものの、珍しくなった“可動橋”の一種が新設されたのです。

 日本の可動橋で有名なのは京都・天橋立の「廻旋橋」で、船を通過させる際に90度電動で回転する珍しい橋です。また大阪の「夢舞大橋」も、あまり知られていませんが旋回可能な構造になっています。

 逆に、有名ではあるものの、すでに動かなくなって久しい橋の方が多いかもしれません。東京の勝鬨(かちどき)橋や、愛媛の「赤橋」こと長浜大橋など跳ね上げ式のものや、かつて首都高のランプとして建設された旋回式の「羽田可動橋」など多々あります。

 そうしたなかで新設された台湾・高雄の「大港橋」は、天橋立と同じ90度回転する「廻旋橋」としてはアジア最長となる全長110m、幅5~11mで、550人と自動車が同時に通行できる構造だといいます。デザインは貝殻とイルカがモチーフで、美しい流線型が特徴です。

 本来は船を通過させるために橋桁が回転する構造で建設されたものですが、今のところその運用はないのだとか。

あくまでも観光用に「90度橋が回転」するパフォーマンスが行われており、平日月~木は15時から。金・土・祝祭日は15時と19時からの2回行われます。もちろんいずれも無料で見ることができます。

ゆっくり回転し始めた橋を前にシリアスな気分に

 高雄滞在中の平日、15時からのパフォーマンスを筆者(松田義人、ライター・編集者)も見学することにしました。周囲には観光客が多く来ていて、なかには日本人で年配の車椅子の方もいました。

 話を聞くと「友達にすごく面白いと紹介され、がんばって千葉から見学に来たんです」とのこと。同時に「大港橋」の回転の様子は、とても貴重で素晴らしいものなのだろうと期待もしました。

 やがて、パフォーマンスの時間が近づくと、「大港橋」界隈に幻想的で壮大な音楽が流れ始めました。

 それまで少々騒がしかった観光客も皆黙り、かたずをのんで「大港橋」の回転を待ちます。そして15時キッカリになると、例の幻想的で壮大な音楽に合わせて、橋の分断が始まり、ゆっくりと左へと回転し始めました。その様子を、周囲の人たちは皆黙って凝視しています。

 それはまるで、何かの歴史的瞬間を目撃するかのようであり、クララが自分の足で立つ場面に立ち会うようでもあり、周囲につられ筆者もシリアスな表情になります。

「大港橋」を応援するような心情にもなってきて、そのゆっくりとした回転を前に「がんばれ。90度まであと少しだ」と、「大港橋」に気持ちが寄っていくのでした。

 ゆっくりゆっくり、数分をかけ「大港橋」が見事90度回転した瞬間、周囲から「おぉ」というざわめきと拍手がわきました。

 ここで少しずつ冷静になり、前述の年配の日本人の方の感想を聞いてみようと探してみましたが、飽きてしまったのかもういませんでした。

 しかし、夜間はライトアップされ、この「大港橋」の「90度回転」がより幻想的なものとなり、カップルや観光客が多いという話も聞きました。ライトアップされた「大港橋」を前に「あの橋が無事に90度曲がったら、僕と結婚してくれないか」「……うん」みたいな場面もあるのかもしれません。

 ともあれ、高雄の新しい観光名所になったアジア最長の「廻旋橋」の「大港橋」は、未来へと向かう今の高雄の象徴的スポットです。ぜひ高雄を訪れる人は見学に行かれてみてはいかがでしょうか。