野党、証拠開示拡大へ修正要求=政府、消極答弁に終始―再審法案

フィジカルAI 政府が注目の理由

 再審制度を見直す刑事訴訟法改正案の参院審議が始まった。立憲民主党など野党は冤罪(えんざい)被害者救済の実効性向上へ、証拠の開示や目的外使用禁止といった論点で修正を要求。政府は参政党の協力を得て与党少数の参院でも可決、成立が見込まれることもあり、消極的な答弁に終始した。
 「改正案には肝心な部分に多くの抜け穴が残されている」。立民の打越さく良氏は19日の参院本会議で、高市早苗首相に修正を求めた。首相は「さまざまな意見があることは承知しているが、本法案は再審制度を大きく前進させるものと確信している」と取り合わなかった。
 野党側は、多くの冤罪事件で再審無罪に道を開いた証拠開示にまずは照準を合わせた。政府案は再審請求理由との関連性を考慮して裁判所が「相当と認めるとき」に限定。開示範囲が現状より狭くなる懸念が残る。公明党の佐々木雅文氏は「関連性」を外すよう迫った。だが、首相は「懸念は承知している」としつつ「法案成立後は適正な運用の確保に努める」とかわした。
 証拠開示を巡り、衆院では裁判所の開示勧告や検察の任意提出を「事案に応じ、適切に行う」と付則に明記する修正が行われた。立民や国民民主党は「『勧告』や『任意』では骨抜きだ」として、裁判所が職権で検察に証拠開示を命令できる制度の創設を唱える。
 19日の質疑でも、国民民主の川合孝典氏が証拠リスト開示の重要性を訴えた。しかし、平口洋法相は事務負担を理由に「一覧表の開示制度を設けるべきではない」と一蹴。平口氏は目的外使用の禁止規定削除を要求されると「相当でない」、検察の不服申し立て(抗告)の全面禁止も「困難」とにべもなかった。
 参院法務委員会での実質審議は23日に始まる。ただ、成立の公算が大きい中で政府からさらなる修正を引き出すのは容易ではなく、立民中堅は衆院の野党に対し「もう少し良い形で参院に送ってほしかった」と嘆いた。 
〔写真説明〕参院本会議で質問する立憲民主党の打越さく良氏(手前)。奥は高市早苗首相=19日午前、国会内