大型重機で二酸化炭素排出量をゼロにする、完全電動化への道は遠いです。ですがちょっとした工夫で、一部ならば排出量をゼロにする一手がありました。
二酸化炭素を抑えるカギは「作業中のみゼロにする」工夫
建設や土木などの領域で、重機のニーズは高まる一方です。でしかし、重機を扱う現場において、最近問題とされる要素が出てきています。それが、二酸化炭素の排出量削減です。
現在、事業を行う企業は、その排出量を計測しなくてはならなくなりました。「Scope3(スコープ・スリー)」と呼ばれるこの基準は、事業を行う企業だけでなく、“その企業が関わるサプライチェーン全体の活動”に紐づいて、二酸化炭素の排出量を計上するように求めています。
この排出量の算出について手間がかかるのはもちろん難点ですが、これを解決する方法として「事業を行う際の二酸化炭素排出量をゼロとする手段を使う」ことが挙げられます。具体的には、バッテリーや外部からの給電のような、電動機器を用いるやり方です。
とはいえ、建築や土木の現場と「完全電動化」の相性はあまりよくありません。電気によるモーター駆動では、ディーゼルエンジンと違って急激なパワーを出しにくく、機器の稼働時間も比較的短時間になりがちでした。加えて給電設備そのものの普及が進んでいない状況では、現場に付く前の移動による電力消費にも目を配る必要があります。
2026年6月17日(水)から20日(土)まで開催されている「CSPI 2026 国際建設・測量展」にて、株式会社タダノが展示しているのは、その状況に画期的な一手を投じる製品です。
同社のラフテレーンクレーンである「GR-700N」は、建築や土木で広く用いられる70t吊りクラスの製品です。今回、そこに増設するパックとして「バッテリー式 e-PACK」が開発されました。
これはクレーンに接続することで、作業中に限り“完全電動で動く”ことを可能とする装備です。もちろんクレーン本体は移動のためにディーゼルエンジンを用いますが、現場での作業時は、このパックに接続することでアイドリング時と作業時の騒音を抑え、二酸化炭素排出量をゼロにすることができます。
実際に稼働する様子を見たところ、「稼働時の騒音は、ディーゼルエンジンと比べ10db低下に成功している」そうで、極めて静かでした。エンジン特有の唸るような音がないのは、住宅地などの作業に適した性能といえるでしょう。
また併せて展示されていたのは、三菱ふそうトラックの「eキャンター(eCanter)」に自社の「ZX294HRSA」クレーンを装備した完全電動モデルの作業トラックです。タダノはすでに25t級完全電動クレーンを発売しており、そこで培った技術が今回の展示にも生きているとのことで、今後この分野でも売り込みを図っていきたいとアピールしていました。
さらに意外な方向性として、VRのトレーニングソフトも開発しているといいます。スコアアタック機能もあり、作業を振り返れるリプレイも搭載。今後は教習所や納入先向けのトレーニングソフトとして、販売を進めるためにブラッシュアップをしていくそうです。
全く新しい切り口で環境負荷の低減に貢献する姿勢は、他社が苦しむ「電動化」を解決する一手として、新建設業界に新たな風を呼び込むかもしれません。