国産LNG船、建造再開を検討=官民連携、造船復活の「旗印」に―供給網やコストなど課題は山積

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 日本で建造が途絶えた液化天然ガス(LNG)運搬船を巡り、官民で国内建造の再開に向けた議論が進んでいる。造船業は高市政権が掲げる官民投資の重点対象17分野の一つ。建造再開には供給網の再構築のほか韓国や中国との価格競争など課題が山積するが、実現すれば、国際競争力の低下が著しい国内造船業の復活の「旗印」となりそうだ。
 建造再開には、過去に建造実績を持つ国内造船最大手の今治造船(愛媛県今治市)や川崎重工業などが参加する見通し。日本造船工業会の檜垣幸人会長(今治造船社長)は18日の記者会見で「エネルギー安全保障の観点から国内で建造できる体制を検討することは重要だ」と述べ、業界で調整が進んでいると明らかにした。採算性の観点からは「政府主導で全面的な支援が不可欠だ」と訴えた。
 LNG船は中韓勢との価格競争に敗れ、2019年以降、国内で建造されていない。発電燃料や都市ガスに使うLNGを海外から輸送する手段の確保は重要で、政府の日本成長戦略会議が近く取りまとめる「官民投資ロードマップ(工程表)」では、LNG船建造再開を盛り込む方向で調整されている。
 造船業再生を巡っては、国土交通省は昨年末、35年に年間建造量を24年から倍増の1800万総トンに引き上げる工程表を策定したが、LNG船の建造再開の具体策は示されなかった。造船、船主、荷主のそれぞれの利害が絡み合い、「国内建造が重要との方向性は一致しながら、ニワトリが先か、卵が先かの議論のように複雑だ」(政府関係者)という。
 例えば、造船側にとっては、受注から竣工(しゅんこう)まで数年かかり、長期で安定した発注が見通しにくい。また、建造に至っても競争力の高い中韓との価格差が大きく、船主には負担となる。そのため政府は、発注する船主への補助も検討する。
 建造休止から時間が経過し、技術や設備、人材の確保も十分と言えない。LNGの船型は、かつては日本が得意とした球形タンクを船体に固定する「モス型」が主流だったが、現在は船倉内にタンクを収める「メンブレン型」が大勢を占める。メンブレン型の建造には高い技術を持つ韓国の協力が得られるかもカギになる。 
〔写真説明〕川崎重工業が建造した「モス型」の液化天然ガス(LNG)運搬船(同社提供)