JR東日本が中央本線などに新型のE131系電車を導入し、従来の211系電車が置き換えられます。首都圏では見かける機会が減った211系ですが、現在どこで運用されているのでしょうか。
首都圏の211系はどこを走っている?
JR東日本は、2026年秋頃から中央本線・篠ノ井線・信越本線に新型車両のE131系電車を導入します。2026年5月には報道公開が行われました。営業運転を開始する際は相当数の車両がまとまって導入される見込みです。これにより置き換えられる従来の車両が211系です。
211系は、国鉄末期の1985(昭和60)年に登場した近郊形電車です。東海道線のような比較的乗車距離の長い路線向けの車両として造られました。ステンレス製の車体を国鉄として本格的に導入したほか、界磁添加励磁制御の走行機器やボルスタレス台車といった当時の新技術が導入されています。
先の通り、近郊形電車は比較的乗車距離の長い利用に対応するべく、セミクロスシートの座席配置を長らく採用していました。この座席配置は、向かい合わせのボックス席(クロスシート)と窓を背にしたロングシートを組み合わせたものです。211系はこのセミクロスシートのほか、ロングシートの車両も用意されて通勤ラッシュの混雑緩和も目論んでいました。
首都圏のほか、名古屋を中心とした中京地区にも導入され、JR東日本やJR東海が車両を継承しました。JR発足後も211系は引き続き製造されましたが、JR東日本・JR東海ともロングシートの車両のみが造られています。ちなみに、JR東海の車両は2025年までに引退しています。
2026年時点で、JR東日本の211系は長野地区と高崎地区で使用されています。
長野地区の車両は青の濃淡の帯色で、今回、同地区に導入されるE131系電車の車体色にも引き継がれています。
長野地区の211系は使用される範囲が広く、高尾~河口湖・飯田・中津川・信濃大町・長野間で使用されています。2026年3月のダイヤ改正までは中央線の立川まで乗り入れていましたが、改正後も高尾から東側にある豊田まで、車両基地に出入りするために回送で走行しています。
路線としては中央本線(中央東線と中央西線)・大糸線・篠ノ井線・信越本線を走行し、JR東海の飯田線や中央西線、私鉄の富士急行線(富士山麓電気鉄道)にも乗り入れています。
高崎地区の211系は、湘南色と呼ばれるオレンジと緑色の帯色で、211系が登場した当時の車体色のままで使用されています。高崎~水上・小山・大前・横川間で使用され、上越線・両毛線・吾妻線・信越本線を走行しています。
2階建てグリーンもあった211系
長野地区や高崎地区は、211系にとっては第二(あるいは第三)の働き先です。首都圏の211系は当初、東海道線と東北・高崎線に導入されました。東海道線では1986(昭和61)年3月から、東北・高崎線では2週間ほど早く同年2月中旬から営業運転に就きました。
東海道線の211系には当初からグリーン車が連結されていましたが、JR化後の1989(平成元)年からは2階建てのグリーン車が新規に導入されています。現在、首都圏を走る湘南新宿ラインや上野東京ライン、常磐線などで2階建てグリーン車が連結されていますが、これは211系で採用された2階建てグリーン車の車体構造を引き継いでいます。
東北(宇都宮)・高崎線方面は、2004(平成16)年7月に現在のグリーン車のサービスが始まりました。
後継車両の導入により、首都圏の211系の転用が進んでいます。2012(平成24)年4月に東海道線、翌年3月のダイヤ改正で東北(宇都宮)線関連から撤退した一方で、転用車両が長野地区で運行を開始し、後にエリアを拡大しています。211系のグリーン車は、高崎線を最後として2014(平成26)年に運行を終了しました。
この途上で、2006(平成18)年から2013(平成25)年3月のダイヤ改正まで、千葉県の房総地区でも211系が使用されていました。車体の帯は黄と青の組み合わせで、千葉以東の総武線をはじめ、成田線や外房線・内房線などで使用されていました。
高崎地区は、ロングシートの車両ばかりです。両毛線は211系が登場当時から使用されています。高崎線からの乗り入れ列車を除くと、4両編成のほか3両編成を2本つなげた6両編成も使われています。上越線・吾妻線・信越本線では4両に短縮された編成が2016(平成28)年から走っています。
長野地区は、房総地区や東北・高崎線から転用された車両が3両編成に短縮されて使用されています。さらに2014(平成26)年からは、東海道線で使用されていた211系が6両編成に短縮されて中央本線などで使用されています。3両編成・6両編成とも、ロングシートだけの編成とセミクロスシートの編成があり、運が良ければボックス席の車両に当たるかもしれません。
今回、長野地区の導入されるE131系の数は、首都圏の211系をすべて置き換えるほどの規模ではありません。今後の211系の動向が注目されるところです。