1台800万円の360馬力仕様!「警視庁だけの怪物」白い覆面パトカー ついに引退か?

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警視庁にのみ15台が配備され、その圧倒的な加速力とフルエアロの外観から「白いヤツ」「スーチャ」と恐れられた交通覆面パトカー「マークX+Mスーパーチャージャー」。ついに引退したかも、という噂の真相をひも解きます。

警視庁にあらわれた“白いヤツ”

 2026年6月上旬、パトカー関連で気になる情報がSNSを駆け巡りました。それは「マークX+Mスーパーチャージャー」の交通取り締まり用覆面パトカーが引退した、という内容です。

 警視庁のみに配備されたこの車両、いったいどんなクルマでどういった性能を持っていたのか。改めて振り返ってみましょう。

 ベースとなったモデルはトヨタの4ドアセダン「マークX」の130系中期型です。ただし当該車種は、トヨタモデリスタインターナショナル(現:トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)が350Sグレードをカスタムした限定生産車を用いていました。

そのため外観は、TRD製のスポイラーとサイドスカートを装着。エンジンは排気量3500ccのV型6気筒直噴DOHCにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力を360馬力にアップさせただけでなく、足回りもスポーツサスペンションへと換装するなどして、走行性能を通常仕様車よりも高めた特別仕様となっています。

 一般販売価格は1台あたり約500万円ほどでしたが、覆面パトカーへの改修費用を含めた金額は約800万円。都費導入として2013年ころから2年にわたって合計15台が警視庁に配備されました。交通取り締まり用の車両としては高額な部類となりましたが、これも予算が潤沢な警視庁だからこそできたことでしょう。

 配備先は交通機動隊と高速道路交通警察隊(高速隊)で、都内の一般道では神田須田町、湾岸方面の国道357号線、東京港臨海道路、環状八号線(環八)、東八道路、甲州街道、多摩モノレール通り、国道16号など、高速道路では首都高速や中央道で昼夜を問わず取り締まりを行っていました。

 前述したようなフルエアロの外観ゆえに、一見すると覆面パトカーには思えない出で立ちでしたが、警察車両としてルーフ後端に無線アンテナ(ユーロアンテナ)を設置、さらに後部には濃いめのスモークガラスを備え、トランク部には「+M」のエンブレムを貼っていたので、そこで見分けることができました。

 とはいえ、その性能と白い車体色、走り屋風の外観により交通取り締まりに絶大な威力を発揮したことから、ファンや走り屋などからは「スーチャ」と呼ばれ、注意すべき車両と認識されていたのは確かです。

本当に全車引退なの?

 2019年度に都費配備されたTRDパーツ付き「カムリ」や、210系「クラウンアスリート」の覆面パトカーなどとともに大いに活躍していた「マークX+Mスーパーチャージャー」でしたが、配備から10年を過ぎたころから数台の廃車が確認されるようになっていきます。

 後継と目される都費導入の220系「クラウン」交通取り締まり用覆面パトカーが配備された後も、まだまだ都内で目撃例があがっていましたが、年度がかわった2026年4月以降は見られる回数が少なくなったのも事実です。

 SNSには「配備されていた15台すべてが引退した」という情報もあがっていますが、もちろん警視庁の公式発表でありません。そのため、あくまでも推測にすぎませんが、すでに運用開始から10年以上が経過しているため、交通取り締まりの第一線から引退したのは間違いないでしょう。

 おそらく残っていても、警察官の送迎などに使う日常業務用(いわゆる下駄車)や、大規模警備の際に予備車として出動するぐらいだと思われます。とはいえ個体にもよるものの、程度さえよければ数年は残り続けることもあるため、その姿を見られる可能性はまだゼロではないはずです。

 ちなみに、マークX中期型の交通取り締まり用覆面パトカーは2013年度と2015年度に国費として奈良県や兵庫県などへ配備されたほか、一部地域では都道府県費での配備もありましたが、警視庁の「スーチャ」のインパクトがあまりにも強すぎた影響か、それらはどちらかといえば目立たぬ存在でした。

 余談ですが、実際に過去、「スーチャ」の取り締まりを受けた筆者(大塚正諭:軍警写真記者)の知人は「ヤツだ、白いヤツだ」と『機動戦士ガンダム』第32話(強行突破作戦)の名セリフを残しています。