クルマのタイヤをパンクなどで1本だけ交換する際、注意が必要です。サイズが同じでも銘柄が違うタイヤを履くと、思わぬトラブルにつながる可能性があるからです。
同一サイズの「他社のタイヤ」に潜む危険
クルマを所有している限り、乗っていても乗っていなくても定期的な交換が必要となるのがタイヤです。タイヤは走ればすり減り、また乗らずにいても紫外線などにより硬化し、最終的にはヒビ割れなどの劣化が発生します。そして走行中にパンクしようものなら、ひどい場合は溝の残量などに関わらず、交換を余儀なくされます。
なかには「ダメになったタイヤを“1本だけ”交換して出費を抑えたい」と考えるドライバーもいるでしょう。一見して合理的にも見える判断ですが、実はこうした場合には、注意しなければならないポイントがあります。
それは「左右で違うメーカー、違うサイズのタイヤを履かない」ということです。
サイズはともかく、メーカーも統一しなければならないのはなぜでしょうか。実は、タイヤは表記上で同じサイズの物でも、実際の寸法がメーカーによって僅かに異なっているのです。
これは人間が履く靴と同じと考えれば理解しやすいでしょう。靴も各メーカーが独自に型を製作しているため、同一サイズでもブランドによって、微妙にフィット感が違います。タイヤは言わば“クルマの靴”ですから、各部の細かい寸法に差があるのは、ある意味当然なのです。
4WD車は“左右2本だけ”も絶対NG!
では、同じサイズで違うメーカーのタイヤを履くと、どんなことが起きるのでしょうか。材質や排水性能の違いによるグリップ差も挙げられますが、最大の問題は「外径が僅かに異なることで、足回りへ大きな負担を与える」ことです。
特に、駆動輪に左右で異なるメーカーのタイヤを履くのは危険です。駆動輪には曲がる際などに左右で回転差が生じますが、これはデファレンシャルギア(通称:デフ)という装置で吸収しています。しかし左右で異なるタイヤを履いた場合、デフには常に負担がかかってしまいます。そうすると装置はやがて過熱して発火、最悪の場合は車両火災にもつながるのです。
そして、さらにシビアに考えるべきなのは、近年スポーツ車やSUVなどにも多い「フルタイム4WD」のクルマの場合です。
フルタイム4WDは、その名の通り4輪を常に駆動する方式で、前後の車輪で生じる回転差は「センターデフ」と呼ばれる装置で吸収しています。そのため、フルタイム4WD車のタイヤ交換は「4輪とも同銘柄、同サイズで統一」するのが原則。左右はおろか、前後で違う銘柄を履くのも機構的にNGというわけです。
とはいえ、タイヤは相応に高額な製品です。軽自動車用などの小さいサイズならまだしも、特にスポーツタイプや大型車のタイヤは気軽に買えない、というのも実情でしょう。「どうしても1本だけ交換したい」という場合は、担当の整備士さんなどとよく相談し、そのうえで決めることを推奨します。