日比境界交渉開始を高評価=中国非難は根拠薄弱―海洋法専門の瀬田早大教授

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 【マニラ時事】日本とフィリピンは5月末、海洋境界の画定に向けた正式交渉開始で合意した。海洋法に詳しい早稲田大大学院の瀬田真教授は時事通信のインタビューで、合意を「大きな一歩」と高く評価。中国が日比の交渉を「違法だ」と非難していることについて、国際法の観点から根拠が薄弱だとの見方を示した。
 国連海洋法条約は、各国に沿岸200カイリ(約370キロ)までの排他的経済水域(EEZ)を認めている。沖縄県の与那国島や波照間島と、フィリピン北端のヤミ島などの距離は400カイリ未満。日比のEEZは台湾東部沖で重なっており、台湾のEEZ内に境界線が引かれる可能性がある。
 台湾を自国の一部と見なす中国は、日比の交渉について「中国の参加が不可欠」「完全に違法かつ無効」と反発している。これに対し、瀬田氏は3カ国のEEZの重複がある場合でも、まず2カ国で境界を画定した後に3カ国目と交渉する例が一般的だと指摘。国際法上、全ての当事国で交渉を始める必要はなく、「中国の主張は無理筋だ」と断じた。
 一方、台湾は日比に協議を求めている。瀬田氏は、台湾と漁業に関する協議が行われることはあり得るとしつつ、日比によるEEZ画定が先行するとの見通しを示した。
 日比の境界が円満に画定すれば、両国の漁船が操業できる海域が明確になる。また、国連海洋法条約に基づく形で解決を実現したことになり、南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンにとっては国際法を順守する立場を示すことができると瀬田氏は述べた。
 日本が海洋境界の画定を行った例としては、1978年に発効した韓国との大陸棚協定がある。日韓は対馬海峡周辺の境界画定で合意したが、東シナ海では見解が対立し画定を50年間棚上げした。期限である2028年が近づく中、韓国との交渉が始まることも考えられ、瀬田氏は「(フィリピンとの)境界画定を経験することは日本にとって意味がある」と語った。 
〔写真説明〕瀬田真 早大大学院教授(本人提供)