関東にある「日本一高い道路トンネル」なぜ冬季閉鎖? せっかくの“元有料道路” トンネル抜けたらちょっと納得… 雪なきゃ絶景ドライブコース

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関東地方にも、冬季に通行止めとなる峠道があります。その代表例といえるのが栃木と群馬を結ぶ国道120号「金精峠」です。春から秋には絶景が待っています。

関東にある! 標高“国道第3位”の峠道

 日本には、冬季の積雪により「通行止め」となる道路が各地にあります。その多くは東北地方以北、そして甲信越・北陸などの山岳地域の高所を通る峠道ですが、関東地方にも、そうした冬季通行止めとなる峠道がいくつかあります。そのひとつが、栃木県と群馬県を結ぶ「国道120号」の「金精峠」です。

 国道120号は栃木県日光市を起点とし、県境を越えて群馬県片品村に入り、沼田市に至る、全長約90kmの道路です。日光市はあらためて言うまでもなく国際的な観光地で、「日光東照宮」「輪王寺」といった名刹のほか、「華厳の滝」「中禅寺湖」「戦場ヶ原」など自然の魅力にも恵まれています。

 片品村には「日光白根山ロープウェイ」や「丸沼」など、アウトドアを楽しめる環境が整っています。両者を結ぶ国道120号は、春には新緑が、夏には高原の冷涼な風が、そして秋には紅葉が楽しめる、美しいドライブルートです。そして県境は延長755mの「金精トンネル」が貫きます。

 この金精トンネルを挟む区間は、1965年に一般有料道路「金精道路」として開通したことから、現在でも日光湯元温泉から丸沼高原スキー場までは一般に金精道路と呼ばれています。

 国道120号の金精峠の標高は1843mで、日本の国道が通過する峠としては、「国道292号」の「渋峠」、「国道299号」の「麦草峠」についで第3位の標高を誇ります。トンネルだけで見ると、金精トンネルの標高は日本一です。

渋峠、麦草峠はともに11月中旬から冬季閉鎖となり、通行止めが解除されるのは渋峠がゴールデンウィーク前、麦草峠が4月初旬です。これらの道路より標高の低い金精峠ですが、やはり12月下旬から4月下旬までは冬季閉鎖となります。

 金精道路はこの通行止め解除からGWの期間は、観光のクルマやバイクで賑わいますが、以降は梅雨明けまで、交通量はいったん落ち着きます。そこで5月下旬、実際に現地を訪れてみました。

トンネル抜けたら“別世界”!? 冬季閉鎖も仕方ないワケ

 国道120号の起点は、日光東照宮の入口となる「神橋」交差点です。国道120号はここから西へ大谷川に沿って、ゆるやかに標高を上げながら進みます。そして「細尾大谷橋」交差点で「日足トンネル」を経由し群馬県桐生市に至る「国道122号」と分岐したのち、中禅寺湖に向けて上り、下りが別々のルートに分かれます。

ここからがいわゆる「いろは坂」です。下りが1954年に開通した「いろは坂」をルーツとする「第一いろは坂」、上りがいろは坂の渋滞対策のため1965年に開通した「第二いろは坂」を通ります。

 一方通行かつ2車線で整備された第二いろは坂で標高差400m以上を一気にクリアし、「明智第一トンネル」「明智第二トンネル」をくぐると、左に中禅寺湖が見えてきます。中禅寺湖の北岸で北に進路を変えると戦場ヶ原で、さらに北に進み、日光湯元温泉の街を通過します。冬季の通行止めは、ここから先です。

 湯元を過ぎると、気持ちのいい山岳ワインディングロードがはじまります。金精トンネルの手前では急なカーブがいくつも続きますが、複数回の改良で曲率はゆるやかとなり、道幅も広く付け替えられ、運転しやすい道になっています。

 この金精道路の栃木県側は、積雪は多くても、路肩を含めた道幅は広く急坂でもないため、除雪が確実なら冬季でも通れそうなイメージです。しかし金精トンネルを過ぎ、群馬県側に入ると、道の雰囲気は一変します。

 一気に道幅は狭くなり、また山肌が道路に迫っているため、除雪に必要なスペースは十分ではありません。山陰になる部分も多く、いかにも凍結しそうな道路形状です。また急坂と急カーブが続くため、トンネルからの下りではスリップの危険が、トンネルへの上りではスタックの可能性が、常につきまといます。

冬は2時間以上の大回り それでも通行止めは「やむなし」

 トンネルを抜けてからの下り坂を15分ほど進むと、群馬県側の冬季閉鎖区間入口となる「日光白根山ロープウェイ」の山麓駅が現れます。冬季にはこのロープウェイは「丸沼高原スキー場」として営業、関東の天然雪のスキー場としてはトップクラスに早い開業時期で知られています。グリーンシーズンは山頂駅からのトレッキングが人気です。

 日光湯元温泉から日光白根山ロープウェイ山麓駅までは30分ほど、もし冬季に通れたとしたら40分ほどでしょうか。しかし金精道路の通行止めにより、冬季は国道122号で県境を越えて黒保根町に下り、そこから群馬県道62号、国道120号を経由する必要があります。凍結しがちな県道62号のコンディション次第では、所要時間は3時間近くにもなります。

 とはいえ、除雪のコスト、事故のリスクと冬季にこの峠を通り抜ける交通需要を比べると、通行止めの措置は止むをえないというところでしょう。

 このように高原のドライブが楽しめる金精道路ですが、やはりネックになるのはその混雑です。栃木県と群馬県をつなぐルート上にあることから、東京方面からは日光を経由しながら周遊ルートが組みやすく、連休や夏休みシーズンには日光側、沼田側ともところどころで渋滞することがあります。

 金精道路を気持ちよくドライブするために訪ねるなら、GWや紅葉シーズンを避け、かつ行楽客が集まる前の早朝の時間帯がおすすめでしょう。