ガードレールを“木”で作りました! 腐らない? 壊れない? 実は理にかなったインフラでした

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自動車が走る道路脇でよく見かけるガードレール。通常は白い鉄製のものが一般的ですが、それをなんと木材で作るという企業が存在します。

金属製と同じくらい使える木のガードレール?

 2026年5月20日から23日まで東京ビッグサイトで開催された「NEW環境展2026」において、「木景(こかげ)」という製品名の木製ガードレールが展示されました。

 動車が走る道路脇でよく見かけるガードレール。通常は白い金属製のものが一般的ですが、それをなんと木材で作るという企業がありました。和歌山県に本社を置く株式会社クスベ産業です。

 同社が考案した「木景」は、2段式の木製ビームを備えた車両用防護柵です。木材は八角形に加工されており、一般的な金属製ガードレールとは大きく異なる柔らかな外観を持っています。特に山間部や観光地、寺社仏閣の周辺などでは、周囲の景観と調和しやすいのが大きな特徴です。

 既に会社のある和歌山県や近隣の三重県内の複数箇所で採用されており、中でも高野山大門前の国道480号は周囲の森林とマッチして、ツーリングを楽しむ人々の間では密かな映えスポットとして有名になっていると同社は明かします。

 また、その風景に溶け込むビジュアルから、リゾート施設などから問い合わせも多くなっているとのこと。

 とはいえ、ガードレールである以上、見た目だけでは済みません。肝心なのは事故時などに「本当に車両を受け止められるのか?」という安全面が重要です。

 同社によると、「木景」は車両用防護柵として必要な衝突試験を実施しており、一般道向けの「B種」、生活道路向けの「C種」といった車両用防護柵の衝突試験に合格しています。つまり、単なる装飾用の柵ではなく、公道での使用を想定した防護柵として性能が確認されているというわけです。

 また、木製と聞くと気になるのが腐食やシロアリ被害ですが、使用する木材には防腐・防蟻剤を加圧注入しており、耐久年数はおおむね15年程度を想定しているとのこと。一般的な鉄製ガードレールより耐久年数は短めではあるものの、更新時期を明確に管理しやすいという利点もあります。

 道路に固定する支柱部分は一般的なガードレールと同様のものを使うため、交換作業もしやすい構造です。木でできているからといって、決して“雰囲気重視の飾り”ではありません。

単なる代替品ではない 森林整備にも貢献

 さらに「木景」の特徴は、ガードレールとして用途そのものだけにとどまりません。むしろ大きな狙いは、その製造過程にあります。

 現在、日本各地では林業の衰退により、森林が十分に手入れされず放置される放置林が問題になっています。木はただ伐採すればよいというものではありませんが、逆にまったく使われなければ、特に木材用や炭焼き用に木が植えられた人工林や雑木林などは定期的に間伐や植林といった循環を行わないと、林内に光が入らず、木が健全に育たないほか、大雨時の土砂災害リスクが高まることもあります。

 クスベ産業が木製ガードレールに取り組む背景には、こうした放置林を有効活用することで、森林資源を適切にし、森の整備にもつなげたいという考えがあります。木材を建築だけでなく、道路インフラにも活用することで、新たな需要を生み出すというわけです。

 同社では、和歌山県内で設置する場合は和歌山県産材を使い、県内で加工するなど、地域内で経済が循環する仕組みを重視しています。地域の木を使い、地域の企業が加工し、地域の道路に設置する。これにより林業、加工業、建設業に仕事が生まれます。

 実際、価格面では通常のガードレールよりも高価になってしまうそうですが、それは大量製造によるコスト削減よりも、地域の森林資源活用を重視した結果だといえます。

 さらに、この取り組みを自社だけで完結させるのではなく、将来的には全国にネットワークを広げ、各地域の製造会社と連携して展開したい考えです。森林の多い地域では地元材を使い、都市部では周辺地域から供給することで、地方と都市部の間にも新たな経済循環を作ることができます。

 木製ガードレールは、鉄製品の単なる置き換えではありません。景観に溶け込み、森林整備や地域経済にもつながる持続可能なインフラであるという可能性も秘めています。