新宿から延びるJR中央線の下り列車で、平日に三鷹以遠まで行く最終列車は「武蔵小金井」行きです。その先の駅利用者からすると、やや中途半端に思える終電に乗った人々を追いました。
「高尾行き最終」「豊田行き最終」、そして…
新宿から延びるJR中央線快速の行先で最も多いのは「高尾」、その次に多いのが「豊田」です。平日下りの終電も高尾行きのあと、豊田行きが発車し、その次の最終列車は「武蔵小金井」行きとなっています。これが各駅停車の終点である三鷹以遠へ向かう最後の列車です。
武蔵小金井が終点なのは運行を終えた列車が豊田車両センター武蔵小金井派出所へ入庫するためですが、三鷹からたった3駅、かつ他路線と接続しない武蔵小金井止まりなのは、やや中途半端にも思えます。その先の国分寺駅や立川駅といったターミナル駅の利用者は、武蔵小金井行き終電を下りたあと、どうするのか。実際に乗って観察しました。
武蔵小金井行き終電の始発は東京駅で、ここから乗る人も少なくありません。そして新宿に到着し0時21分、深夜にもかかわらず1ドアあたり15~20人ほどの列を作っていた人々を乗せ、新宿を発車しました。車内は座席がほぼ埋まり、満員ではないものの立ち客も多く見られます。年齢層は幅広いですが、会社員とみられる人が多い印象です。
中野~高円寺間では車内に大きな変化はなく、荻窪~三鷹間で乗客のおよそ半数が下車。終点が近づくにつれ空席が目立ち始め、立っている乗客も減少していきます。
0時47分、終点の武蔵小金井駅に到着すると、多くの乗客がホームから改札へ向かって流れていきました。その人数は、朝の通勤時間帯を思わせるほどです。1か所のみ稼働している改札を出た利用者は、南口と北口へ分かれていきます。
武蔵小金井は駅の南北にロータリーとタクシー乗り場が設けられています。南北両側のタクシー乗り場には、それぞれ20~30人ほどが列を作っていました。タクシーは約3分おきというハイペースで到着しますが、15分ほど経過してもなお20人前後が並んでおり、1時台でも利用者は途切れることなく増えていきます。
なかにはタクシー待ちに堪えかね、途中で配車アプリを利用する人もいました。約1時間後に再びタクシー乗り場を訪れると、列はすでになく、終電後に並んでいた人たちはすべて帰路についたようでした。
悲観する必要なし!終電難民の受け皿は?
一方で、タクシーを使わず徒歩で帰宅する人も少なくありません。
駅から西へ歩いていた男性に話を聞くと、隣駅である国分寺駅周辺に住んでおり、徒歩30分ほどで帰宅できるとのことでした。「国分寺周辺に住むほかの友人も、武蔵小金井の終電後は徒歩で帰ることがありますね」というので実際に歩いてみると、線路沿いに比較的歩きやすい道が続いており、国分寺駅までは40分弱でたどり着きました。
また、駅周辺には自転車のレンタルスポットもありますが、利用する人は見かけませんでした。ほとんどの人がお酒を飲んだ後のためでしょうか。駅前には酔って座り込む人の姿も見られました。
終電後に徒歩で帰宅できるのは、現実的には国分寺駅周辺までのようです。さらに西側の駅が最寄りの人に話を聞くと、やはり「タクシーで帰宅するか、駅周辺で始発まで過ごすかの二択になる」と話していました。
駅周辺で朝まで過ごす場合、武蔵小金井には24時間営業のネットカフェやカラオケ店など、深夜でも利用できる施設が点在しています。そして2025年12月には、駅からすぐの中央線高架下にスーパー銭湯「RAKU SPA Station 武蔵小金井」もオープンしました。
終電後、実際に入館してみると、1時台にもかかわらず十数人の利用客がいました。友人同士で訪れているグループや、近隣住民と思われる常連客の姿も見られました。
スーツ姿の人に話を聞くと、終電を逃してしまい、翌日の仕事までゆっくり過ごすために訪れたとのことでした。この施設、実は金曜と土休日はオールナイトで朝8時まで営業しているのです(ただし風呂の利用は深夜2時まで。月~木は2時で営業終了)。
男性はここで1日働いた分の汗を流し、その後は別の場所で朝まで過ごす予定だと話していました。別の20代男性は「自宅まではしばらく歩くが、帰宅後すぐ寝られるよう、ここで入浴を済ませてから帰る」と話します。他にも、「以前に武蔵小金井行き終電に乗り、偶然この施設を見つけて以来、数回利用し朝まで過ごしている」という人もいました。
このように、武蔵小金井駅周辺は深夜でも比較的過ごしやすい環境が整っており、終電を逃しても「朝まで待つ」という人が少なくないようです。