「災害大国ニッポンにEVは最適だ」ダイハツが披露した軽EV「走る蓄電池」のすごさとは

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2026年5月末に開催された「人とくるまのテクノロジー展」でダイハツが展示した軽EV「e-アトレー」。同社ブースで、クルマと家をつなぐ「V2H」、そしてスマートグリッドの構想から、災害時にも役立つ次世代EVのあり方が紹介されていました。

「災害時の2日間」を生き延びる技術

 自動車のひとつの区分として、すっかり定着した感のある電気自動車(EV)ですが、最近発売されているモデルの多くには、もしもの時に役立つ機能が搭載されています。プラグインハイブリッド車(PHEV)などにも導入されている「V2H」こと、「Vehicle to Home」という給電システムです。

 2026年5月27日から29日までの3日間、パシフィコ横浜で開催中の「人とくるまのテクノロジー展 2026」でも、ダイハツがこの領域に触れており、同社ブースにはEVモデルの「eアトレー」が展示されていました。

 今や電気は生活インフラとして不可欠なものであり、これ無しでの生活はおおよそ考えられないほどになっています。しかし、もしも大きな災害などで、このライフラインが寸断されてしまったらどうなるでしょうか。地域や自治体から発電機を備えた車両や設備が来るまでには時間がかかり、その間、電気を使わない生活を強いられるのは大変な苦痛を伴います。

 そこで注目されているのがV2Hという技術です。電気自動車のような大容量バッテリーを備えた車両が、災害時に住宅や施設へ電力を供給し、一定期間の生活をサポートするというシステムです。

 ダイハツブースに展示されていた「eアトレー」は、既存のガソリンエンジン仕様である「アトレー」を電動化したモデルです。この車両は一般向けにも販売されている軽自動車ですが、最大の特徴は大容量のバッテリーと、それに支えられた航続距離の長さにあります。搭載バッテリーは36.6kWhと、軽自動車タイプのEVにしては大きく、航続距離(WLTCモード)は257kmに及びます。バッテリー容量だけで比較すれば、この手の車両の草分け的存在である日産「サクラ」の容量(20kWh)と比べて、約1.8倍ものサイズを誇ります。

 このバッテリーがどれだけ生活を支えられるかというと、一般家庭が一日に消費する電力量は、条件にもよるものの12~18kWhほどとされています。そのため「eアトレー」では、少なく見積もっても2日程度は車載バッテリーから家全体へ給電できる計算になります。

「クルマが家の電力を管理する」未来のカタチ

 さらにダイハツは一歩踏み込んで、この仕組みをベースにした「スマートグリッド」システムを構築しようとしています。これは家庭や地域における電力管理を一手に担い、広い範囲で最適な電力消費・供給を行うことを目的としたシステムです。

 今回の展示は、家庭単位の構築を想定したものですが、電気自動車の給電や送電といった複雑な連携を、自動車メーカーであるダイハツがまとめて引き受けるという点がポイントです。

 これまで、V2H機器など電気自動車に対応する周辺機器はメーカーごとに独立して生産・設置されることが多く、トラブル発生時の対応や、家庭ごとの最適な設定などはユーザー側で全て行う必要がありました。こうした面倒な部分を自動車メーカーが担うことで、普段は自動車として使いつつ、いざというときには緊急の電力供給源としてスムーズに機能する最適なエコシステムが実現します。

 消費者にとって使いやすく、いざという時の防災の備えにもなるこの取り組み。自動車メーカー各社が手を挙げつつある中で、どのメーカーが市場の主導権を握るのか、今後の動向から目が離せません。