高級ミニバンのパイオニア、日産「エルグランド」が16年ぶりにフルモデルチェンジします。ライバルであるトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」に奪われた王座は取り戻せるのか、プロトタイプへの試乗で検証しました。
王座奪還なるか 16年ぶり全面刷新
2026年夏、日産「エルグランド」がついにフルモデルチェンジします。4代目となる新型エルグランドのプロトタイプにクローズドコースで試乗しました。
1997(平成9)年に初代モデルが登場したエルグランドは、それまでなかった“高級ミニバン”という新ジャンルを開拓したパイオニア的なモデルです。しかし、現在は最大のライバルであるトヨタ「アルファード」と、後に追加された兄弟車「ヴェルファイア」に、このジャンルの王座を奪われてしまっています。
また、現行の3代目エルグランドは2010(平成22)年8月にデビューしましたが、以降フルモデルチェンジが約16年間行われなかったこともあり、近年は販売面で厳しい戦いを強いられていました。
日産によると、今回デビューする4代目エルグランドのコンセプトは、“リミットレスグランドツアラー”とのこと。「ミニバンでありながら、どこまでも走りたくなるようなツアラー」を目指し、走りの良さを追求したといいます。そこで新型エルグランドは、パワートレインをはじめ各種メカニズムの一新を図っています。
大きな課題であった燃費性能は、エンジンで発電してモーターで駆動するハイブリッド機構「e-POWER」の第3世代システムを国内初採用し、改善を果たしました。また駆動や制動の制御には、4輪を統合的にコントロールする電動の「e-4ORCE」システムを組み合わせています。さらに足回りには、路面からの入力に応じて減衰力を変化させる「インテリジェントダイナミックサスペンション」も備えられています。
まさに、日産が最新技術を惜しみなく注ぎこんだといえる新型エルグランドですが、特に走行性能に関しては開発陣も自信を持っている様子。担当者は「運転の楽しさ、走りの良さではアルファードに負けていない」とコメントしています。
運転しても、後ろに乗ってもハイレベル!
デビュー目前となった新型エルグランドの出来栄えを、実際に試乗しながら検証していきます。
まず、開発陣も自信を見せた“走りの良さ”についてですが、大柄さや背の高さからは想像できないほど、ハイレベルな仕上がりだと感じました。「e-4ORCE」や「インテリジェントダイナミックサスペンション」の恩恵は絶大であり、比較的高い速度で旋回を始めても、車体姿勢は安定しており、ロールも少ない印象です。
またハンドル操作に対する反応も素直なもので、ドライバーズカーとしては最も優れたミニバンだと筆者(西川昇吾:モータージャーナリスト)は感じました。高速道路を長距離・長時間運転しても、これならドライバーの疲労も少ないはずです。
その運転フィーリングを端的に表現するならば、これまで歴代エルグランドに設定されてきた人気グレード、“ハイウェイスター”のワードがピッタリとくるでしょう。日産によると、まだハイウェイスターの設定は予定されていないとのことですが、これほど乗り味がいいなら、新型にもぜひ用意してほしいと感じます。
他方、ミニバンは後部座席の快適さも大切です。2列目と3列目の乗り心地はどうなのか、こちらも試乗して検証しました。
特に驚いたのが、3列目の完成度の高さです。正直「3列ミニバンの一番後ろ」に求めるものは大きくなかったのですが、足元はなかなか広く、大人6人でロングドライブをしても快適だと言えます。良い意味で期待を裏切られました。
また、2列目では静粛性の高さが印象に残りました。ロードノイズや風切り音など、あらゆるノイズが抑えられているうえに、不快な振動も少なく、フラットな乗り心地です。コンフォート性能の面でも、アルファードと充分良い勝負ができるでしょう。
16年ぶりのフルモデルチェンジとなったエルグランドは、「ドライバーズカー」の走りの良さと、「高級ミニバン」の快適性を、高い次元で両立している1台だと感じました。その完成度はプロトタイプ段階でもハッキリ実感できました。市販モデルで公道を走れる日が、非常に楽しみです。