日本の「武器輸出」想像以上の注目? “三原則”改定直後の海外展示会が大盛況だった件 ただ“肩透かし”の声も

成長局面を迎える日本の電子部品

マレーシアで防衛総合イベント「DSA2026」が開催されました。日本の防衛装備庁パビリオンは、防衛装備移転三原則の改定と重なる時期ということもあり、立地条件が悪いながらも盛況となりました。ただ、来場者からは肩透かしの声も聞かれました。

予想に反して大盛況だった日本の防衛装備庁パビリオン

 2026年4月20日から23日まで、マレーシアの首都クアラルンプールで、防衛総合イベント「DSA2026」と、付帯イベントで海洋防衛・セキュリティイベント「NASTEC」が開催されました。日本の防衛装備庁もパビリオンを設け、装備品をアピールしました。

 DSAとNASTECの会場となったMITEC(マレーシア国際展示センター)は、マレーシア国内はもちろん、東南アジアでも屈指のエキシビションホールです。

 これはDSA/NASTECに限った話ではないのですが、エキシビションホールで開催される防衛装備展示会は、実物の装甲車など重量の大きな製品の展示が行える下層階に大手企業や主要な国がパビリオンを出展する傾向があり、それ故に下層階は多くの来場者が訪れます。しかし今回、日本の防衛装備庁のパビリオンは、MITECの最上階の3階に設けられていました。

 2026年2月に開催されたシンガポールエアショーの防衛装備庁パビリオンは、多くの来場者が訪れるボーイングの真向かいに設けられていました。このためボーイングからの流れで訪れる来場者も少なくなかったのですが、今回のDSAの防衛装備庁のパビリオンは最上階、しかもボーイングのようなメジャーな企業や英米のような主要国のパビリオンもありません。

 このため筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は閑古鳥が鳴いている状況を危惧していたのですが、取材に訪れた20日、21日の両日とも盛況を極めていました。

 日本の防衛装備品の開発や取得、輸出を一元的に管理する防衛装備庁は2015年の10月に発足しています。2015、16年は日本国内で開催されたイベントのみで展示を行っていましたが、2017年の10月にUAE(アラブ首長国連邦)のドバイで開催された「ドバイエアショー」で初めて海外の展示会に出展。以降は海外の展示会へも積極的に参加していました。

 筆者も2018年にインドネシアのジャカルタで開催された防衛総合イベント「INDO2018」で初めて防衛装備庁の展示を見て以降、海外で開催された防衛イベントや展示会の防衛装備庁パビリオンを何回か訪れていますが、前に述べた2026年のシンガポールエアショーを除けば、あまり盛況という印象を受けなかったというのが、正直なところです。

「武器輸出」解禁が背景に? ただ展示は“肩透かし”の声も

 日本政府が「日本の安全保障に資する」という条件付きで、防衛装備品の海外移転を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定したのは2014年4月のことですが、この時海外移転が認められていた防衛装備品は、殺傷能力を持たない「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」に使用する装備品に限定されていました。

 ちなみに2023年11月にオーストラリアのシドニーで開催された海洋防衛イベント「INDO PACIFIC 2023」で防衛装備庁は、2026年4月にオーストラリア海軍に正式採用された改もがみ型護衛艦「FFM-AAW」の模型を展示しています。FFM-AAWは前に述べた防衛装備移転三原則で認められていた共同開発に該当するため、殺傷能力を持つ防衛装備品でありながら海外の展示会でも出品することができましたが、この一例を除けば、防衛装備庁は前に述べた五項目に該当する防衛装備品と、軍用にも民生用にも使用できる、いわゆる「デュアルユース」の製品やサービスのみの展示を行っていました。

 もちろん殺傷能力の無い防衛装備品やデュアルユース製品・サービスにも需要はありますので、それを目当てに訪れる来場者も少なくはなかったのですが、やはり軍艦や戦闘機、装甲車両など、殺傷能力を持つ装備品を展示している企業や国に比べれば、多くの来場者を引き寄せる効果では見劣りする感がありました。

 日本政府が防衛装備移転三原則を改定して、殺傷能力を持つ防衛装備品の海外移転を可能にしたのは、DSAの会期2日目の4月21日のことですが、改定自体は数か月前から海外でも報じられていました。DSAでの展示環境が必ずしも良好なわけでなかったにもかかわらず、盛況を極めていた理由の一つは、そこにあったのではないかと思います。

 もっとも、DSA2026での防衛装備庁パビリオンの出展内容が決定したのは、防衛装備移転三原則の改訂が閣議決定されるより前、2026年3月のことですから、展示内容は、従来の防衛装備移転三原則で海外移転が認められていた5分野の製品とサービスに限られていました。このため来場した外国人からは、肩透かしを受けたという声も聞こえてきました。

でも「変化の兆し」は確実にあった

 ただ、DSA2026では、日本企業のテラドローンが出資してウクライナ企業のアメイジングドローンが開発した攻撃用UAS(無人航空機システム)を迎撃するUAS「TerraA1」の模型が展示されていました。これは純粋に日本企業が開発したものではありませんし、人間を殺傷するものでもありませんが、変化の兆しは確実に表れていたようにも感じました。

 改訂された防衛装備移転三原則に則った防衛装備庁の展示は、早ければ2026年6月にフランスのパリで開催が予定されている防衛総合イベント「ユーロサトリ2026」、遅くとも2026年9月以降に東南アジア諸国で開催が予定されている防衛装備展示会で行われるのではないかと思います。

 防衛装備品の海外移転には賛否両論があってしかるべきだと筆者は思いますが、賛成するにせよ、反対するにせよ、防衛装備庁と日本企業がどのような防衛装備品に商機があると考えているかを見極めてからでも、遅くはないと筆者は思います。