ミャンマー「復帰」に賛否=「民政移管」に疑念―対話再開巡り合意できず・ASEAN

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 フィリピン中部セブで8日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議では、4月に発足したミャンマーの親軍政権への対応が議題となった。同政権のミンアウンフライン大統領はASEANへの「復帰」を模索。首脳会議ではミャンマーとの対話再開が協議されたが、国軍主導の「民政移管」に疑念を持つ一部の加盟国が反対し、合意に至らなかった。
 「私たちは何かをしなければならない。ミャンマーはASEANの家族の一員だ」。
 議長国フィリピンのマルコス大統領は8日、首脳会議後の記者会見でこう強調した。一方、ミャンマー情勢が十分に改善していないと不満を持つ加盟国も多いとして、「非常に活発で、時に感情的な議論があった」とも明らかにした。
 ミャンマーでは、2021年のクーデターで国軍が実権を握った後、ASEANの主要会議への政治代表の参加が禁止された。ASEANと軍政が結んだ「暴力の即時停止」などの5項目合意が履行されていないためで、今回の首脳会議にもミンアウンフライン氏は招待されなかった。
 ミャンマー軍政は昨年12月から今年1月にかけて総選挙を実施し、4月に親軍政権を発足。同月末に民主化指導者アウンサンスーチー氏らに恩赦を与えるなど、民主派への軟化姿勢を内外にアピールしている。
 一方、ASEAN側の受け止めには温度差がある。フィリピンはASEAN特使とスーチー氏の面会を要求。マレーシアはミャンマーの取り組みが不十分だとして、ASEANの会合に再び招くことに慎重だ。
 最も融和的なのは隣国タイで、7日の外相会議では外相レベルでの対話の再開を提案した。しかしタイ外務省は8日に「(対話再開での)合意には至らなかった」と述べ、加盟各国が引き続き協議すると説明した。
 ミャンマー外務省は10日の声明で、自国の「前向きな進展」を支持した加盟国への謝意を表明。一方、批判的な国に対しては「合法的な投票を通じて民主的権利を行使したミャンマー人民の真の意思を無視するものだ」と非難した。
 外相レベルの対話が再開すれば、ミャンマーがASEANに戻るための足掛かりとなる。ただ、内戦が続く中で親軍政権に正統性を与えたとして国際社会からの批判を招きかねず、ASEANは難しいかじ取りを迫られている。 
〔写真説明〕8日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開かれたフィリピン中部セブで記者会見する議長国フィリピンのマルコス大統領(AFP時事)