「コロナの亡霊」払拭に躍起=ハンタウイルス感染の船、島民不安―スペイン

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 【パリ時事】「ハンタウイルス」の集団感染に見舞われたクルーズ船「MVホンディウス」の乗客らが10日、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で下船、帰国を始めた。新型コロナウイルスの記憶が完全には癒えない中での寝耳に水の事態。感染の兆候を示す乗客は残っていないが、政府は「安全を最優先」(ガルシア保健相)に掲げ、島民と接触しないよう厳戒態勢で護送した。「パンデミック(世界的大流行)の亡霊を呼び覚ました危機」(パイス紙)の懸念払拭に躍起となっている。
 「皆さんの不安は承知している」。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はスペインに入った9日、島民に向け異例のメッセージを送った。
 6年前の感染拡大時に未知の病原体だったコロナによって、世界各地の人々は仕事を失い、家族を奪われた。テドロス氏は「苦しみは今も現実。一瞬たりとも忘れたことはない」と訴えつつ、クルーズ船の乗客が一時的に上陸しても「島で暮らす皆さんのリスクは低い」と強調。パニックにならず、冷静に対応するよう求めた。
 ただ、カナリア諸島は観光が主産業で、コロナ禍で大打撃を受けた。サンチェス首相がWHOの要請に基づきクルーズ船を受け入れたことは快く思われていない。地元女性は乗客の下船に先立ち、「われわれは寛容なコミュニティーだが、これはやり過ぎだ。(島民は)おびえ、心配している」とロイター通信に話した。 
〔写真説明〕10日、スペイン領カナリア諸島・テネリフェ島の港で、クルーズ船「MVホンディウス」から下船し、青い防護服を着て護送用のバスに向かう乗客(AFP時事)
〔写真説明〕10日、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で、クルーズ船「MVホンディウス」から下船し、ボートで移動する人々(AFP時事)