トラックの後ろの「赤と黄のシマシマ」どんな意味? しかも絶対に「ハの字」!? 実はルールが存在

成長局面を迎える日本の電子部品

トラックなどの大型車両のリア部分には、必ず赤と黄色の反射板が取り付けられています。「ハの字」に取り付けられていますが、これにはどのような基準や効果があるのでしょうか。

「必ず『ハの字』でなければいけない」という明確なルールが存在

 トラックなどの大型車両のリア部分には、必ず赤と黄色のリフレクターのような反射板が付けられています。その形は「ハの字」状から山のようなものまで様々ですが、いったいどんな効果を目指して付けられているのでしょうか。また、法律上での義務や、基準などはあるのでしょうか。

 元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・生物理工学部の島崎 敢教授は赤と黄色のリフレクターのような反射板について、こう解説してくれました。

「あの赤と黄色の縞模様は、正式には『大型後部反射器』と言い、車両総重量7t以上の貨物車に装着が義務づけられています。国際基準(UN R70)に基づいて規格が定められており、色の組み合わせ、縞の角度(約45度)、幅(100mm)、反射器全体の長さまで細かく決まっています」(島崎教授)

 さらに、一見「様々な形がある」ようにも見える反射器の「縞の向き」も実は規定があるともいいます。

「縞模様の向きも規定されていて、後ろから見て『ハの字』になるように取り付けるのが正しいです。その理由については後述しますが、逆に取り付けて『V字』になると保安基準に適合しません。

 なお、これら反射器は、自ら光るものではなく、『再帰反射』という性質を利用しています。照らされた光をもとの方向に返す仕組みなので、後続車のヘッドライトが当たると、そのドライバーの目に向かって光が戻ってくる。エンジンを切って路肩に停めているときでも、ヘッドライトさえ当たれば光って見えるわけです」(島崎教授)

なぜトラックだけなのか?

 乗用車には、この反射器の装着義務はありません。トラックなどの7t以上の貨物車にのみ装着義務があるのは何故なのでしょうか。

「なぜこれほど目立たせる必要があるかというと、トラックは外形が四角いことが関係しています。

 乗用車は丸みを帯びたシルエットをしているので、暗闇の中でも周囲のものと区別しやすい。その一方、トラックは四角い箱型で、建物や壁など他の人工物と形が似ています。

 暗い場所ではテールランプの点だけが頼りになりますが、点の光だけでは距離感も車幅も掴みにくい。だからこそ、面として目立つ反射器が必要になります」(島崎教授)

 また、前述の「ハの字」である理由については国際的な慣習からの採用だともいいます。

「『ハの字』の向きについて、ネット上などでは『こちらの方が幅が広く見える』『近くに見える』といった説が広まっていますが、実際にハの字とV字の向きの違いによる知覚の差を検証した実験研究は、少なくとも公開されている論文レベルでは見当たりません。

 では、どうして『ハの字』が採用されているかと言うと、国際的な慣行として、斜線が下がっていく方向に『こちら側を通り抜けてください』という意味を持たせるルールがあります。そのルールに沿った結果、消防車や道路作業車の後面マーキングなどにも同じ『ハの字』の考え方が使われています」(島崎教授)

 言い換えれば、科学的な根拠から「ハの字」になっているというものではなく、あくまでも国際的なルールがベースのようです。

「斜線の向きに関しては、知覚実験の結果というよりも、人間が作った標識ルールの体系から採用されているというわけです。

 すでに日本国内でも広く普及していて、普通乗用車のドライバーの皆さんはもちろん、外国人の運転者でも、あの反射器の縞模様を見れば『大型トラック』と学習しています。その意味でも、国際的な標識ルールに基づいて反射器と斜線の向きが決まっているというわけです」(島崎教授)

 なお、島崎教授は運転⼼理と安全リスクなどについて解説するポッドキャスト番組『プロフェッショナルドライブ』を配信しています。元トラックドライバーで交通⼼理⼠、さらに現役の⼤学教授というマルチな⽴場から、運転にまつわる多彩なトピックを展開しています。https://prodora.jp/