国道の片側だけ不思議なトンネルが連続する場所があります。そのうち一つはあまりに短く、「あっても無くてもよい」と感じずにはいられません。これは一体何なのでしょうか。
国道の片方だけ、「あっても無くてもいい」感じのトンネルが
新潟県北部の景勝地「笹川流れ」をゆく海沿いの国道が345号です。山形方面から国道7号を南下すると、「勝木」(がつぎ、村上市)の交差点で345号が分岐し、海沿いの絶景区間が始まります。
すると間もなく、不思議な光景が。山側の南行き車線だけ、馬蹄形の坑口からトンネルが300mほど続き、すぐにもう一つ、30mほどの短いトンネルが現れます。
いずれも内部は海側の壁面に穴が開いているので、正確にいえばロックシェッド(洞門)なのでしょうが、崖から張り出しているワケでもなく、そこだけポツンと“フタ”を被せたような感じです。特に短いトンネルは落石防止フェンスなども山側に設置されているので「あっても無くてもいい」感がただよいます。
ただ、これは明らかに「元鉄道」であると実感できます。この区間だけ南行き車線がやや高くなっており、断面の小さなトンネルへ列車で突っ込んでいくような錯覚を覚えます。
これは山側に並行するJR羽越本線の旧線で、駅間では越後寒川-勝木間にあたります。1968年の複線化の際、この区間は複線の芦谷トンネルに切り替えられ、海沿いをゆく旧線は国道に構造物ごと転用されました
この区間は国道の端はすぐ海になっていて、拡張の余地がほとんどありません。逆にいうと、南行き車線が鉄道だった時代、それに張り出すように通っていた国道がいかに狭かったかということも伺えます。国道転用の際にトンネルを撤去すれば、山側にも広い路肩や歩道が作れたかもしれませんが、「そのまま」というのがなんとも柔軟です。
羽越本線の複線化は、国鉄末期の財政難により全線完遂することなく凍結されてしまったため、この周辺には他にも旧線トンネルや未成のまま放棄されたトンネルが存在。なかには複線で作ったのに、単線+道路で供用しているトンネルもあります。