ガンダム世界の“異常なほど巨大な航空機”や“浮く軍艦”その異次元の性能とは? MSより脅威的な兵器!?

成長局面を迎える日本の電子部品

巨大輸送機の不思議 なぜそんな兵器が必要とされたのか

 アニメ『機動戦士ガンダム』は、未来世界を舞台とした人型機動兵器「モビルスーツ(以下MS)」が活躍するSFロボットアニメです。ただし、MSだけではなく、様々な補助兵器も存在します。その中でも特に存在感が大きいのが「空中兵器」であり、現実世界の我々の尺度で考えると、異次元の大きさのものが多いのが特筆すべき点です。

 現実に存在する最大の航空機は、ウクライナが保有していた「An-225」で、全長84m、全幅88.74m、空虚重量285トン、最大離陸重量640トン、最大搭載量250トンという性能です。機体上部には、ソ連版のスペースシャトルともいえるブラン宇宙往復機を搭載する予定であったため、これほどの搭載能力を持っています。

 貨物室は長さ43m、幅6.4m、高さ4.4mのサイズがあり、車なら50台も搭載可能です。大きなものでは、風力発電用タービンのブレードや機関車も空輸できます。

 一方、「ガンダム」の飛行兵器を見ると、別格なのは、ガンダムなどのMSを搭載したペガサス級強襲揚陸艦「ホワイトベース」です。全長は262m(諸説あり)で、現在アメリカ海軍が配備中の水上専用アメリカ級強襲揚陸艦とほぼ同じ全長ですが、全備重量は3万2000トン(諸説あり)とされ、実体弾88cm(諸説あり)連装砲までも搭載しているにもかかわらず、地上で浮遊したり空中航行したりすることが可能です。

 飛行方法はミノフスキークラフトによるもので、ほぼ反重力推進とも言える方式で飛行する兵器です。その形状は「木馬」と呼ばれ、航空力学的に飛行しているとは考えにくいものです。地上に着陸している際も、馬が手足を前後に出しているようなカタパルト部分とエンジン部分で直接地面に接していました。接地面積を全長の6割程度と仮定すると、筆者の試算では地上にかかる圧力は5~6kPa程度です。これは、柔らかい地盤に置かれた大型建築物より軽い程度で、「巨大な倉庫が地面に置かれている」くらいの負荷です。

 この数値は、戦車の数十~数百kPaよりも面積当たりの重量が小さく、ある程度広い平地であればどこにでも着陸可能と考えられます。こうした艦が浮遊し、かつ飛行することは、索敵もミノフスキー粒子に妨害されているガンダム世界において、たとえ1隻であっても神出鬼没でかなりの戦力をどこにむけられるか分からず、ジオン軍にとっては大きな脅威だったと想像できます。

 一方、ジオン軍の航空機でひときわ巨大なのは「ガウ攻撃空母」です。MSや戦闘機ドップを運用するために作られた巨大航空機で、全長147.4m(諸説あり)、全幅159.4m、全高72.4m、全備重量690.4トンです。初めての実用核融合炉を搭載し、プラズマ加熱型熱核ジェットエンジンを備え、ほぼ無限の航続距離を持つ(諸説あり)という設定です。

 全幅50mという設定もありますが、ガンダムやガンキャノンが翼に乗っても壊れない強度や描写から考えると、159.4mが妥当と思われます。この兵器こそ、ジオン軍はこの兵器を40機程度保有していたといわれます。兵器輸送から戦略爆撃まで可能で、同軍が短期間で北米、欧州、アフリカなどの広範囲で急速な勢力拡張をできた一因だと思われます。

ホワイトベースの重さの理由とは

 現実世界では、核動力を利用した航空機は存在しません。アメリカとソ連が試験を行い、アメリカでは核ジェットエンジン「J87ターボジェット」などが成功しましたが、実用化には至っていません。理由は、乗務員を放射線から守るための遮蔽に重量を割く必要があることや、墜落・撃墜時のリスク、さらには大陸間弾道ミサイルで攻撃可能になったこともあり、核エンジンで航空機を長時間飛行させる必要がなくなったからです。

「ガンダム」の世界では、MSの動力源はミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉(核融合炉)であり、架空の粒子であるミノフスキー粒子で小型化されている設定です。おそらく放射性遮蔽技術も発展しており、航空機への搭載に支障は少ないのでしょう。

 艦載機としてドップ4機(1機9.46トン)、MS4機(ザクIIとして1機67.1トン)が搭載される場合、ドップ合計37.84トン、ザク合計268.4トン、合計306.24トンとなります。ガウの重さは690.4トン説と980トン説がありますが、艦載機を満載した状態で980トンと考えられます。こんな巨大な航空機が運用可能かどうか、筆者は可能だと考えます。

「ガンダム」第7話では、幅広い底面を持つ胴体で基地に直接着陸しているカットがあります。おそらく巨大な推力を持つ熱核ジェットエンジンで、短距離離着陸をしているのでしょう。980トンでも、タイヤではなく底面で支えているなら、ホワイトベースの計算と同様、面積当たりの重量はそれほど大きくありません。宇宙世紀の機体制御技術を用いれば、離陸も着陸も推力偏向で可能と思われます。

 宇宙世紀では、スペースコロニーという巨大宇宙都市が多数建設され、地球の人間を宇宙に運ぶ時代でもあります。軌道エレベーターの描写はありませんが、数十億人の人間は巨大な宇宙往復機で宇宙に運ばれたと考えられ、そのインフラやノウハウを前提にガウは設計されたのでしょう。

 先述したAn-225は最大離陸重量640トン、最大搭載量250トンのため、ザクII2機を寝かせて運搬可能です。ガウは大きさの割に軽量な航空機とも言えます。

 ガウの全長は147.4mで、ホワイトベースの56.2%ですが、重量はホワイトベースの3.06%にすぎません。艦載機の搭載数は、ホワイトベースがMS6~15機、航空機10機の最大25機、ガウは8機で、ホワイトベースの32%です。

 つまり、ホワイトベースが非常に重いのは、艦載機の搭載数の多さや88cm実体弾主砲などの武装だけではなく、装甲の影響が大きいと考えられます。ジオン勢力圏内を単独航行し無数の被弾を受けても撃沈されなかったことから、敵地侵入・MS部隊急速展開に耐えられる構造だったのでしょう。

 現実世界の航空機は軽量化が必須で装甲に限界がありますが、ジェットやロケットだけでなくミノフスキークラフトを搭載したペガサス級強襲揚陸艦は「空中戦艦」と言える防御力を備えており、航空機であるガウとは比較にならない飛行物体だったのかもしれません。