すでに陸自が「ドローン1200機」を保有!? “自爆型”の調達や戦闘ヘリの代替も計画自衛隊「無人化」の最新状況

AI需要 電子部品の需給ひっ迫へ

陸上自衛隊は2026年4月、ドローン運用に特化した新部署を設立しました。すでに約1200機を保有する陸自ですが、偵察から「攻撃用」へのシフトや戦闘ヘリの後継機選びなど、急加速する無人化の最前線に迫ります。

小泉防衛相も激励! 陸自に誕生した「無人機(ドローン)専従部署」

 防衛省は、2026年4月8日付で陸上幕僚監部(陸幕)防衛部に「無人アセット防衛能力推進室」、同装備部に「無人装備室」をそれぞれ新設しました。

 無人アセット防衛能力推進室(前者)は7人体制で、UAV(無人航空機)、UGV(無人車両)、USV(無人水上艇)、UUV(無人潜水機)の運用構想や研究開発などを担います。一方、無人装備室(後者)は6人体制で、無人アセット(装備)の調達をはじめ補給や整備などを担当することになっています。ちなみに4月13日には、小泉進次郎防衛大臣が参加して新編記念行事を実施し、看板を授与するとともに隊員へ訓示しました。

 そもそも「無人アセット」とは、人が乗らずに任務をこなす装備やシステム全般のことを指す言葉です。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略において、ウクライナとロシア両軍が戦場に大量投入したことで、戦闘様相を一変させました。

 それを踏まえ、日本政府も2022年12月策定の防衛力整備計画では、防衛力の抜本的強化にあたって重視する主要事業のひとつとして、無人アセット防衛能力を盛り込みました。

 これに基づき、防衛省・自衛隊は、各種無人アセットの導入を進めてきたほか、2026年度予算案では、SHIELD(Synchronized, Hybrid, Integrated and Enhanced Littoral Defense:無人アセットによる多層的沿岸防衛体制)を2027年度中に構築することを明記。1001億円を計上し、UAVとUSVならびにUUVを合わせて10モデル調達することにしています。

 このように無人アセットの導入・活用に向けた動きが加速する防衛省・自衛隊のなかでも、無人アセット運用をリードしているのが陸上自衛隊です。海上自衛隊や航空自衛隊と比べて無人アセットの運用実績で一日の長があると言われています。

無人アセットの保有機数は約1200機

 では、陸上自衛隊は現在、無人アセットをどのくらい保有しているのでしょうか。

 2026年現在、陸上自衛隊で自律活動が可能な無人アセットは、そのすべてがUAV(ドローン)です。陸上自衛隊はUAVを約1200機(2025年3月末時点)保有しており、ほとんどの駐屯地に配備しています。なお、これが海上自衛隊や航空自衛隊と比べて無人アセットの運用実績で一日の長があるとした理由です。

 機種ごとの内訳は明らかにされていませんが、「災害用ドローンI型」がInstantEYE ROBOTICS社製のInstantEYE Mk3 GEN5、「災害用ドローンII型」がParrot社製のANAFI。そして「UAV中域用」としてインシツ社製スキャンイーグル、「UAV狭域用」として調達されているのがエリヨン社製スカイレンジャー、「UAV狭域用(汎用型)」という名称なのがACSL社製の国産ドローン「蒼天」です。これら以外にもあるかもしれませんが、すべてを合わせて前述した1200機を陸自は保有しています。なお、これらはSHIELD構想以前に陸自が導入した機種で、主な用途は偵察でした。

 一方、SHIELDを構成する無人アセットの用途は偵察から攻撃にシフトしています。それに伴い陸上自衛隊は、近距離で情報収集などを行うFPV(一人称視点)のモジュール型UAV、車両・舟艇などを捜索した上で体当たりによって攻撃する「小型攻撃用UAV I型」「小型攻撃用UAV II型」「小型攻撃用UAV III型」、敵艦艇などの情報収集を行う「小型多用途USV」と「小型多用途UUV」、計6機種の調達を担当します。

 このなかで、小型攻撃用UAV I型については、今年2月18日、オーストラリアのDefendTex社製Drone40が落札しました。Drone40は、小型で持ち運びが可能なほか、本体と弾薬部が分離できる構造で、弾薬部については、装備を付け替えることで映像を送信する任務などにも使用できます。

 この小型攻撃用UAV I型は、普通科部隊に配備する計画です。また、ほぼ同じ用途の小型攻撃用UAV II型と同IIII型の配備先については、野戦特科部隊になっています。

動き出した戦闘ヘリ/観測ヘリ後継UAV

 このSHIELDとは別に、4月24日には陸幕が「多用途UAVの提案要求書の案に対する意見召請に関する説明会」を開催しました。これに先立ち、陸上幕僚監部は、RFI(情報提供依頼書)を発出して、候補機の機能・性能、コストなどに関する情報を収集してきました。

 陸幕は多用途UAVに関して、「我が国の上空や周辺の洋上を長時間飛行し、情報収集や警戒監視、電子戦を含む攻撃の機能を有する機体」と説明していることから、防衛力整備計画に基づき、将来的にはAH-64D戦闘ヘリやOH-1観測ヘリを置き換えていく有人航空機に近いサイズのUAVになると思われます。

 候補機としては、いずれも固定翼機でレシプロエンジンを採用したトルコのバイカル社製「バイラクタルTB2S」とイスラエルのIAI社製「ヘロンMk II」の名前が挙がっていますが、今後予定されている機種選定がこの2機種の一騎打ちとなるのか、あるいは新たな機種が参戦するのか、注目したいところです。

 ロシア・ウクライナ戦争などの実績を参考に、世界各国は無人アセットを重視し、その開発・配備を推進しています。そして今回の「無人アセット防衛能力推進室」と「無人装備室」新編行事への小泉防衛大臣の出席は、世界各国と同様、防衛省・自衛隊も無人アセットを重視している姿勢を改めて物語っていると言えるでしょう。