JRの快速列車の最上位種別は「特別快速」です。特別料金不要で特急に近い高速運転を行う列車として、国鉄時代の1967年に登場しました。登場から70年ほどの特別快速について紹介していきます。
京王線との競合から登場した特別快速
「特別快速」は、JRグループの快速列車における最上位種別です。国鉄時代の1967(昭和42)年、中央線に初めて登場しました。
この直前の1963(昭和38)年、中央線と競合する京王帝都電鉄(現・京王電鉄)が架線電圧を1500ボルトに昇圧。新宿~東八王子(現・京王八王子)間を従来より10分短い40分で結ぶ特急列車の運行を開始しました。クリーム色に赤帯のスマートな5000系電車による特急は、京王の運賃が安いこともあり、中央線快速を脅かしたのです。
国鉄は、中央線新宿~荻窪間の複々線が完成した1967年に特別快速の運行を開始します。新宿~八王子間は38分と、京王特急より短いことが特徴でした。京王高尾線がこの年の開業を予定しており、その対抗策としても位置付けられていました。東京~高尾間は61分で、中野~立川間の途中停車駅は三鷹のみでした。
1968(昭和43)年の特急「あずさ」でも、新宿~八王子間は途中無停車ながら40~43分だったので、特急より速い快速といえます。ただし、当初は日中のみ1時間に3本の運転でした。
1969(昭和44)年には、仙石線の仙台~石巻間に特別快速が2往復設定されます。所要時間は57分。快速より5分速く、10時に開店する仙台の百貨店を利用するのに適したダイヤが組まれました。
仙石線の特別快速は1978(昭和53)年にいったん廃止され、1983(昭和58)年に復活。仙台~石巻間を52分で結びます。休日限定ですが、仙台~石巻間をノンストップ・47分で結ぶ特別快速も設定されます。1988(昭和63)年にはノンストップの列車のみが特別快速となり、所要時間は43分まで短縮されました。現在は1日1往復、東北本線経由で最速49分です。途中3駅に停車します。
近畿や中京地区にも登場
近畿では1970(昭和45)年、京都~西明石間で「新快速」の運転が始まります。阪急、阪神、京阪の私鉄特急に対抗するためです。
当時の国鉄大阪鉄道管理局は、「特別快速」で国鉄本社の許可を得ていました。しかし「フレッシュさを出したい」として「新快速」に変えたのです。京都~大阪間はノンストップで所要時間32分。新大阪すら通過しました。京都~西明石間は79分で結び、特急「しおじ」が停車する神戸駅も通過しています。
新快速は当初1日6往復で、113系近郊形電車で運転されていました。1972(昭和47)年から32往復に増え、車両も山陽新幹線の岡山開業で余った153系急行形電車に置き換えられ、今日の発展の基礎を作りました。
なお、新快速の英語表記は直訳すると「New Rapid Service」ですが、JR西日本は「Special Rapid Service」、JR東海は「New Rapid(Train)」と表記しています。
1989(平成元)年には中京地区の蒲郡~大垣間で、名鉄特急に対抗するために新快速が設定されます。岐阜~大垣間はノンストップで、わずか1年で新型311系電車に統一。最高速度は120km/hで、運転区間は豊橋~大垣間に拡大しました。
1995(平成7)年、JR西日本は京橋~関西空港間に特別快速を設定します。「関空特快ウィング号」という愛称が付いていました。指定席も設けられていましたが「列車の一番後ろ」と分かりにくく、現在の「うれしート」のように仕切りなどがない上に、指定席料金を加えると高速バスの方が安いという課題がありました。このため1999(平成11)年に廃止されてしまいます。
なお、新快速と特別快速はどちらが上位なのか、という疑問は1999年に解消します。JR東海が東海道本線に特別快速を設定し、「大府を通過するのが特別快速。停車するのが新快速」としたからです。
大幅な時間短縮につながった常磐線の特別快速
中央線では、1986(昭和61)年に特別快速の派生型である「通勤快速」が登場します。夕夜間の下り列車のみで運行し、新宿発は中野を通過していました。1988(昭和63)年には、特別快速は国分寺に停車する「中央特快」と、同駅を通過し青梅線に乗り入れる「青梅特快」に分かれています。
2004(平成16)年には湘南新宿ラインに特別快速が登場しました。しかし、こちらは通過駅がそれほど多くなく、現在、本数は日中に1時間1本、所要時間は同じ区間の快速とほぼ同じと、あまり特別感はありません。
2005(平成17)年に常磐線に登場した特別快速は、「つくばエクスプレス」への対抗策として設定されたものでした。上野~土浦間を最高130km/hで駆け、所要時間をそれまでの71分から55分に短縮するという速達列車でした。現在は2往復のみで北千住に停車するようになり、上野?土浦間は57分に延びています。列車の運行区間は品川~土浦間です。
特別快速は、「指定席があり、停車駅の少ない快速」や臨時列車とすることも多く、函館本線、総武本線、成田線、内房線、北陸本線、鹿児島本線など、各地で設定されたものの、定着しませんでした。
石北本線の「きたみ」、山田線の「リアス」、指宿枕崎線の「なのはなDX」のように列車名が付けられた事例もありました。
現在は、旭川~網走間で特急を格下げした特別快速「大雪」、新千歳空港~札幌・小樽間で特別快速「エアポート」が設定されているほか、しなの鉄道の有料特別快速「しなのサンライズ」なども設定されています(時刻表は快速ですが、同社ウェブサイトでは特別快速列車です)。
JRの快速最上位種別である特別快速は今後、どのような速達列車が設定されるのか楽しみです。