ポーランドは日本のナニが欲しいのか? 防衛分野で急接近の両国 韓国兵器“爆買い”の次が?

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日本とポーランドが防衛装備品の輸出に向けた枠組みを構築します。ただ、ポーランドが欲しい装備品は何でしょうか。それは必ずしも完成品とは限りません。

関係格上げで高まる防衛協力への期待 ただ「欲しいもの」って…?

 2026年4月15日、来日したポーランドのドナルド・トゥスク首相は高市早苗首相と首脳会談を行い、日本からポーランドへ防衛装備品を輸出するにあたって不可欠な、情報保護を徹底するための枠組み構築を目指すことなどで一致しました。

 冷戦が終結してポーランドが自由主義陣営諸国の一員となって以降、日本とポーランドは友好的な関係を構築してきましたが、防衛分野の協力はイギリスやフランスなど、既に「同志国」と位置づけられているヨーロッパ諸国に比べて、それほど進んではいませんでした。

 ポーランドは2022年2月に始まったロシアによる隣国ウクライナへの侵攻に対する危機感や、ヨーロッパの安全保障を軽視するきらいのあるアメリカへの過度な防衛装備品の依存に大きなリスクがあるとして、韓国からK2戦車やFA-50戦闘機を導入しました。

 そして日本に対しても、2025年5月に千葉市の幕張メッセで開催された総合防衛イベント「DSEI Japan2025」でUAS(無人航空機システム)メーカーの「WBグループ」と、国営防衛企業「PGZ(POLSKA GRUPA ZBROJENIOWA)」が出展してビジネスチャンスを探るなど、アジアの自由主義陣営諸国との防衛協力にも熱意を示しています。

 今回の首脳会談から約1週間後の4月21日、日本は防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷能力のある防衛装備品の輸出を可能としました。4月の時点で日本とポーランドは防衛装備品の技術移転協定を締結していませんが、前に述べた首脳会談で両首脳は両国間関係を従来の「戦略的パートナー」から「包括的・戦略的パートナー」へ格上げすることで合意しており、早晩、防衛装備品の技術移転協定も締結されることになりそうです。

 こうして日本からポーランドへの防衛装備品の輸出を可能にする土台は整いつつありますが、では、日本にポーランドが輸入を望む防衛装備品はあるのでしょうか。

 駐日ポーランド大使館マリウシュ・ボグシェフスキ副大使は4月16日付のロイターの取材に対して、UAS(無人航空機システム)を例に挙げていますが、UASの開発とセールスに関しては、前に述べたWBグループが日本企業を一歩も二歩もリードしていますので、日本企業が自衛隊向けに開発した防衛装備品を、そのまま購入するという形にはならないのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

ポーランドは日本に何を期待するのか?

 では、ポーランドにとって日本と防衛装備品の協力を進めるメリットはどこにあるかといえば、他の欧米諸国の企業と同様、日本企業を自国の防衛企業のサプライチェーンに組み込む意図があると考えられます。

 日本はこれまでほとんど防衛装備品の完成品を輸出したことはありませんが、日本企業の開発・製造した部品やコンポーネントに対する評価は高く、それを自国の防衛企業が製造する防衛装備品に使用したいと考えている外国企業は少なくありません。

 たとえば、4月15日付のロイターはラトビアのズィグマールス・ズィルガルヴィス駐日大使の話として、同国の軍用車両メーカー「VRカーズ」が2023年に、同社が開発する軍用車両のエンジンを、トヨタ自動車の子会社で特殊車両を手がける「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」から調達しようとした話を紹介しています。

 この時はラトビア当局が仲介を試みたようですが、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントはロイターに対して「当社の事業範囲と方針に照らし、軍用車両に関する依頼には対応できないと判断した」とコメントしており、VRカーズもその判断を尊重したためこの話は立ち消えになりました。

 一方、4月にはイギリスの防衛エンジニアリング企業であるバブコック・インターナショナル・グループが、現在イギリス陸軍が汎用四輪駆動車として運用している「ランドローバー」の後継車両に、トヨタ「ランドクルーザー」「ハイラックス」をベースとする車両を提案したと発表しました。このように日本製の部品やコンポーネントに対する評価には高いものがあります。

 前に述べたボグシェフスキ駐日ポーランド副大使は「日本が加わることで解消できるボトルネック(業務において生産能力が最も低く全体の流れやスピードを停滞させている箇所)がある」と述べています。

 防衛装備移転三原則と運用指針の改定により、オーストラリアへの水上戦闘艦の輸出のような大型の完成品の輸出案件も増加していくものと思われますが、日本企業が正式な協定を締結した欧米の大手防衛企業のサプライチェーンに加入して、部品やコンポーネントを供給して実績を積んでいくことも必要なことだと筆者は思います。日本の防衛産業を強靭にして、かつ同盟国・同志国との関係を強化していくことになるでしょう。