【ワシントン時事】トランプ米大統領が出席したホワイトハウス記者会主催の夕食会での発砲事件発生から2日で1週間。トランプ氏暗殺は未遂に終わったものの、11月の中間選挙や建国250周年記念行事など、同氏が出る多くのイベントが控えていることを踏まえ、大統領の警護態勢や危機管理に疑問の声が上がっている。
事件は4月25日夜、ワシントン市内のホテルで発生した。散弾銃と拳銃、複数のナイフで武装した西部カリフォルニア州在住の塾講師コール・トーマス・アレン容疑者(31)が、会場の宴会場につながる廊下に設置された金属探知機を走って突破したところで拘束された。この際、警護要員が拳銃を計5発発砲したものの、容疑者には命中しなかったとみられる。警護要員1人が胸部を撃たれ負傷したが、味方による誤射も疑われ、VIPを守るには射撃技術があまりにお粗末との見方が出ている。
トランプ氏や閣僚ら参加者にけがはなく、人的損害が軽微にとどまったことから、同氏は「シークレットサービス(大統領警護隊)は素晴らしい仕事をした」と擁護する。だが、危険人物の接近を間近まで許したことは事実。容疑者が爆弾を持ち込んでいたら、多数の犠牲者が出る可能性もあった。レビット大統領報道官は「過去2年間で3度も暗殺未遂に直面した大統領は歴史上他にいない」と危機意識をあらわに。ニューヨーク・タイムズ紙は「警備態勢に疑問を投げ掛ける事件だ」と断じた。
さらに、バンス副大統領ら大統領継承順位の上位7人のうち6人が一堂に会していたことも問題視されている。米国では正副大統領らが集まる際は、テロや災害などに備え「指定生存者」を事前に決めて別の場所に待機させるが、今回はその原則が無視された格好だった。
こうした指摘を踏まえ、政権はシークレットサービスなどと警護態勢を見直す会合を4月下旬に開催した。ワイルズ大統領首席補佐官が主導しており、今回の事件の教訓を踏まえた追加措置を講じ、今後の危機管理に万全を期す方針だ。
トランプ氏は中間選挙に向け、全米各地で行われる集会などに足を運んでいる。大勢の前に姿をさらす場面も多いが、ホワイトハウスで記者団から再び事件が起きることに不安はないかと問われ「ない。そんなことを考えていたらいい仕事はできない」と強調。防弾ベストの着用については、「太って見られるのはどうかと思う」と冗談めかして語った。
〔写真説明〕発砲事件が起きたホテルで、警護要員に伴われて避難するケネディ米厚生長官(中央)=4月25日、ワシントン(AFP時事)
〔写真説明〕発砲事件が発生したホテルで銃を構える連邦捜査官=4月25日、ワシントン(AFP時事)