沖縄都市モノレール「ゆいレール」で、乗客が多すぎて重量制限を超え、発車できなくなるトラブルがありました。普通の鉄道ではあまり聞かない重量オーバー、なぜモノレールや新交通システムでは起こるのでしょうか。
乗客が多すぎて発車不可に
2026年4月17日、沖縄都市モノレール(ゆいレール)の美栄橋駅で、7時51分発の列車の乗客が多すぎて重量制限を超えたため、発車できなくなるトラブルがありました。8時頃に発車した後続列車も、安里駅・牧志駅で重量超過となり、運行に遅れが出ました。
モノレールで重量超過という珍事はSNSで話題になりましたが、このようなトラブルは「ゆりかもめ」などの新交通システムでも稀に起きています。今回の一件はむしろ、2023年に3両編成化したばかりのゆいレールが、早くも限界を迎えるほど混雑していることに驚きです。
普通鉄道は乗車率が200%、300%を超えても走れるのに、モノレールや新交通システムにはなぜ重量制限があるのでしょうか。それは前者が強固な鉄のレールと鉄輪で走行するのに対し、後者は重みでたわんでしまうゴムタイヤを使用しているからです。
鉄道最大の特性である大量輸送は、重い車両を受け止めるレールと車輪があるから成立します。その分、線路の建設やレールの維持管理には多額の費用がかかるため、古くからレールに頼らない安価な交通機関が模索されてきました。
その有力候補として1950年代後半に開発されたのが、「アルヴェーグ式モノレール」です。アルヴェーグ式は「鉄道」でありながらレールを使わず、コンクリートの桁とゴムタイヤで走行します。ゴムタイヤは鉄輪より摩擦係数が高いため、普通鉄道より急勾配・急曲線に強く、騒音も少ない上、建設・維持コストも安上がりです。
日本では1962(昭和37)年に名鉄モンキーパークモノレール線(犬山モノレール)、1964(昭和39)年によみうりランドモノレール、東京モノレール羽田空港線が開業。その後は同方式を改良した「日本跨座式」が開発され、主流となりました。ゆいレールも日本跨座式を採用しています。
さて問題はゴムタイヤです。ゴムタイヤのメリットを得るということは、レールと鉄輪のメリットを手放すことを意味しています。ちなみにレールと鉄輪を使用して重量問題を解決した「ロッキード式モノレール」も存在しますが、デメリットが大きくて普及しませんでした。
開業時の東京モノレールは10mの車体に2軸4本のタイヤが付いていました。タイヤ1本の負担荷重は5トン、4本で20トンです。車両重量が1両あたり13トンなので、旅客に割けるのは7トンです。鉄道の定員は1人あたり55kgで計算するため、定員は120人。大量輸送機関としては微妙な数字です。
実際に重量オーバーしていた過去のケース
共通規格として策定された日本跨座式では、車体を15mに延長して4軸8本のタイヤで支えます。同様に計算すると負担荷重の合計は50トン。21トンの軽量車体を使用すれば旅客に19トンを割けます。これは380人分に相当しますが、面積的に乗れないので問題ないという判断でした。
ゆいレールの1000形車両は全長13mの中型車体で4軸です。1両あたり26~28トンなので余裕は12~14トン、つまり200人以上が乗れるはずです。定員は約80人なので乗車率250%です。
さすがにそこまで乗っていたとは思いませんが、重量センサーにはある程度のマージンがあるでしょう。また、平均体重が男性は67~70kg、女性は53~56kgに増加していること、旅行者の多い路線だけに重い手荷物も影響したのかもしれません。
重量制限を超過するとタイヤがパンクする危険があるだけでなく、構造物にも悪影響を与えかねません。極端な例は1966(昭和41)年に開業し、わずか1年強で運行を終了した神奈川のドリーム開発ドリームランド線です。開業間もなくタイヤのパンクや車両の故障、損傷が相次いだため調査したところ、車両の重量が設計値を大幅に超過していることが発覚。構造物が致命的なダメージを受けていました。
車体の重量管理に悩まされた路線の一つが、東京の日暮里・舎人ライナーです。コロナ禍以降、日本一の混雑路線として知られるようになりましたが、全席ロングシートの車両が主流になったのはここ数年のことです。
新交通システムの基本仕様は、1軸あたりの上限値を9トンとしています。開業時の300形車両の重量は1両あたり12トン弱なので、旅客は約7トン、120人程度が限度です。定員は約60人に対し乗車率200%で超過するギリギリの計算だったので、ロングシート化で旅客を詰め込めようになると容易に到達してしまいます。
そこで2015(平成27)年以降導入した新型330形車両は、車体をステンレス製からアルミ製に変更して約1トン軽量化。全面ロングシート化で乗客が増えても問題がなくなりました。
重量問題が起こるのは、ゴムタイヤだけではありません。浮上式リニアの愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)でも重量超過が発生したことがあります。リニモは磁石で車両を吸引して浮上させているため、車両が重すぎると走行できなくなってしまうのです。
リニア中央新幹線にも浮上走行した車両が停止する際に使用するタイヤが付いています。こちらは150km/h程度の高速で接地するため、航空機用タイヤをベースに開発された専用品です。全席指定席なので重量超過の心配はないでしょう。