海上輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖状態が続く中、米国を出発して日本に向かう原油タンカーが急増している。北米は、中東以外からの原油輸入を進める政府の代替調達先の一つ。23日時点で、主要な積み出し拠点である米国メキシコ湾沿岸部を出航した日本向けタンカー13隻が確認されており、うち1隻はパナマ運河を通って日本に着いた。来月以降、喜望峰回りも含めた到着が本格化する見通しだ。
船舶の位置情報サイト「マリントラフィック」などのデータを、楽天証券経済研究所の西勇太郎グローバルアナリストが分析した。船舶数は約1カ月前の3隻から4倍強に増加。13隻のうち3隻は、大西洋と太平洋を結ぶ全長約80キロのパナマ運河を通過した。通航料が高く、幅の狭さや水深の浅さから大型船が通れないなど制約が多いが、片道30日程度と、50日程度かかる喜望峰回りより航路は短い。
26日には、米国産原油91万バレルを積んだタンカーが東京湾に到着した。コスモエネルギーホールディングス子会社のコスモ石油(東京)が調達し、輸送日数は35日。広報担当者は「国内の安定供給に資するため早さ重視でパナマを選んだ」と述べた。
13隻のうち10隻は喜望峰ルートを使う。早ければ1隻が5月初旬にも到着するが、6月に入るとみられるタンカーもある。海運関係者は「時間がかかっても量を選ぶか、通航料を払ってでも早さを選ぶか。荷主のニーズで航路は決まる」と説明した。
西氏は「米国発の原油タンカーは、長期契約ではなく、スポット契約による調達分と考えられる」と指摘。「米国産は他のアジア諸国との取り合いになる可能性もあり、来月以降も継続的に調達できるか疑問だ」と懸念を示した。
このほか、ホルムズ海峡を通過しない中東発の4隻、マレーシアで積み替えた原油を搭載した4隻のタンカーも確認。西氏によると、この8隻と米国発の13隻以外には、日本向けの代替調達とみられる原油タンカーは見当たらないという。
〔写真説明〕東京湾を航行する米国の原油を積んだタンカー=26日、千葉県木更津市から撮影