【ソウル時事】韓国の鄭東泳統一相の発言に反発した米国が北朝鮮情報の提供を制限した問題を巡り、米国の積もった不満が表面化したとの見方が広がっている。李在明政権内には、対米関係を重視する「同盟派」と、北朝鮮との関係を優先し米国からの自律性を主張する「自主派」が共存。両派の「暗闘」が背景にあるとの指摘もある。
鄭氏は3月、国会で北朝鮮のウラン濃縮施設の場所について、これまであまり知られていない北西部・亀城に言及。これに米国が抗議したと報じられた。鄭氏は「過去にもたまにあった」と述べ、情報提供制限をほぼ認めた。米政府高官は英紙フィナンシャル・タイムズに「パートナー国に対し、非公式に共有された米国の機密情報が厳格に保護されることを期待している」と不快感をにじませている。
ただ、韓国の消息筋は「『亀城』だけに米国が反発したわけではない。これまで積み重なった不満が表れたとみるべきだ」と指摘する。
在韓米軍を中国など北朝鮮以外への抑止力に活用したいトランプ米政権と李政権の間には見解の相違がある。3月、在韓米軍の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の中東移転が報じられると、李氏は「反対意見を伝えているが、意見を貫徹できないのも厳然たる現実」と悔しがった。3月の米韓合同軍事演習では、北朝鮮への刺激を避けたい韓国側が機動訓練の回数を減らすよう米側に求めて調整が難航した。
また、昨年韓国で大規模な顧客情報流出事件を起こした米上場の電子商取引大手クーパンの刑事責任追及を進める韓国捜査当局に米国が反発。大統領府の魏聖洛国家安保室長は23日の記者会見で「クーパン問題が韓米の安全保障協議に影響を与えているのは事実だ」と述べた。
さらに、李政権では、外交官出身の魏氏に代表される同盟派と、鄭氏や李ジョンソク・国家情報院長ら自主派が対立。魏氏が韓国紙のインタビューで「アマチュア」「ポピュリズム」と痛烈に自主派を批判したこともあった。今回の問題では、鄭氏を追い落とそうとする人物によるリークとの臆測も出ており、鄭氏は23日、「(問題を大きくしているのは)米国かもしれないし、われわれの内部かもしれない」と語った。
〔写真説明〕韓国の鄭東泳統一相=20日、ソウル(EPA時事)