LCCの常識が変わる!? フルフラット&無料Wi-Fi完備「ZIPAIR」を選ぶ “第3の客層”開拓の舞台裏

世界でたった1社 EUV技術とは?

JALグループのLCC「ZIPAIR」が注目を集めています。フルフラットシートや無料Wi-Fiを備えつつ格安運賃を実現。既存の常識を打ち破る「第3の戦略」の秘密に迫ります。

LCCの常識を覆す驚きの設備

 海外旅行の移動手段として、今や欠かせない存在となったがLCC(格安航空会社)でしょう。

 ただ、値段の安さと引き換えに、これまでは「座席が狭い」「サービスがほとんどない」といったイメージが一般的でした。しかし、その常識を覆すようなサービスで人気を集めているのが、JALグループの中長距離LCC「ZIPAIR(ジップエア)」です。

 ZIPAIRの大きな特徴のひとつが、上位席である「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」の設定です。これは横になれるフルフラットタイプの座席として案内されており、通常席の「Standard(スタンダード)」とあわせて2クラスで展開されています。

 運賃は残席状況などにより変動しますが、LCCでありながら体を伸ばして移動できる選択肢があることは、これまでの格安航空のイメージとは一線を画しています。

 また、通信環境も独特です。LCCでは異例ともいえる無料で利用できる機内Wi-Fiサービスを提供しており、乗客は自分の端末を接続して、各種オンラインサービスを利用できます。

 さらに機内サービスについても、自身のスマートフォンやタブレット端末を使って機内食や機内販売を注文・決済できる仕組みを構築。こうした独自の設備やデジタル技術を整えることで、従来のLCCとは一線を画す利用体験を提供しています。

JALとジェットスターの隙間を狙う JALグループの巧みな棲み分け

 なぜ、こうした設備やサービスを備えながら低運賃を実現できるのでしょうか。その理由は、必要なサービスを自分で選ぶ「アンバンドル(バラ売り)」という考え方の徹底にあります。

 機内食は付帯有料サービスとして提供され、受託手荷物についても、基本運賃とは別に追加できるオプションとして扱われます。アメニティなどの各種サービスも、必要に応じて追加料金で選ぶ形です。このようにサービスを細かく「切り分ける」ことで、ベースとなる運賃を極限まで抑える仕組みとなっています。

 JALグループ全体の戦略を見ると、ブランドごとの役割が明確に分かれています。フルサービスの「JAL」はビジネス客や高級志向のレジャー層を、短距離路線の「ジェットスター・ジャパン」はとにかく安さを重視する層をターゲットとしています。

 これに対し、ZIPAIRは成田空港を拠点とする中長距離LCCとして、低運賃を求めるレジャー層の中でも「長距離を快適に移動したい」という中間的なニーズをカバーする役割を担っています。この棲み分けにより、グループ全体で漏れのない顧客獲得を目指しているのです。

 また、運航機材にボーイング787を採用している点もポイントです。JALグループが掲げる「旅客機のベリースペース(貨物スペース)を最大限活用する」という方針に基づき、貨物ビジネスを含めた収益機会の拡大を狙う体制が示されています。

「安かろう悪かろう」ではなく、自分に必要な快適さを賢く選ぶ。ZIPAIRが提案した新しい空の旅の形は、私たちの海外旅行をより身近で自由なものに変えようとしています。